ハーセプチン、「HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺がん」で適応拡大

2021/12/27

文:がん+編集部

 トラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)が、「HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺がん」に対し適応拡大されました。

承認の基となったHUON-003-01試験では、60%の患者さんで奏効

 中外製薬は11月25日、トラスツズマブが、「HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺がん」の効能・効果、および用法・用量の追加について、厚生労働省より承認されたことを発表しました。今回の承認は、HUON-003-01試験の結果に基づくものです。

 HUON-003-01試験は、HER2陽性の進行・再発唾液腺がんの患者さん16人を対象に、「トラスツズマブ+ドセタキセル」併用療法を評価した医師主導の国内第2相試験です。主要評価項目は奏効率でした。

 有効性解析の対象となった患者さん15人のうち、60%で奏効が認められました。主な有害事象として、好中球数減少、白血球数減少、脱毛症、貧血、口内炎、低アルブミン血症などが認められました。

 同社の代表取締役社長 CEOの奥田 修氏は、次のように述べています。

 「これまで標準的な薬物治療の確立されていない唾液腺がんにおいて、ハーセプチンにより、個別化医療のアプローチによる治療選択肢がご提供できることを大変嬉しく思います。承認の基礎となった医師主導治験の関係者の皆様をはじめ、国内のエビデンスによる承認をご支援くださった多くの方々のご尽力に感謝申し上げます。ハーセプチンは、長年にわたり乳がんや胃がんの標準治療薬として使用されています。アンメットニーズの高い唾液腺がんの治療に対しても本剤が貢献できるよう、適正使用の推進に努めてまいります」