キイトルーダ、手術後の特定の腎細胞がんに対する術後補助療法としてFDAが承認

2022/01/07

文:がん+編集部

 ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)が、手術後の特定の腎細胞がんに対する術後補助療法として米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得しました。

キイトルーダ、プラセボと比べて再発または死亡リスクを32%低下

 米メルク社は2021年11月18日、ペムブロリズマブが、特定の腎細胞がんに対する術後補助療法としてFDAから承認されたことを発表しました。今回の承認は、KEYNOTE-564試験の結果に基づくものです。

 KEYNOTE-564試験は、再発リスクが中~高度もしくは高度、または腎摘除術および転移巣切除術後の腎細胞がん患者さん994人を対象に、術後補助療法としてペムブロリズマブとプラセボを比較した第3相試験です。治験参加の4週間以上前に腎臓の部分切除または根治切除を受け、切除した断片の陰性が確認できた患者さんが対象で、全身治療歴のある患者さんは対象外でした。主要評価項目は無再発生存期間、副次的評価項目は全生存期間でした。

 解析の結果、ペムブロリズマブはプラセボと比べて無再発生存期間を統計学的有意に改善。再発または死亡リスクを32%低下しました。

 安全性に関して、ペムブロリズマブの治療を受けた患者さんのうち、重篤な有害事象が20%の患者さんに認められました。1%以上で認められた重篤な有害事象は、急性腎不全、副腎不全、肺炎、大腸炎、糖尿病性ケトアシドーシス、死亡に至った有害事象は0.2%で肺炎でした。投与中止は21%の患者にみられ、最も高い頻度で認められたのはアラニンアミノトランスフェラーゼ上昇(1.6%)、大腸炎、副腎不全でした。20%以上で認められた有害事象は、筋骨格系の痛み(41%)、疲労(40%)、発疹(30%)、下痢(27%)、掻痒(23%)、甲状腺機能低下症(21%)でした。

 ダナ・ファーバーがん研究所のLank Center for Genitourinary Oncologyのディレクターでハーバード大学医学部教授のToni K. Choueiri博士は、次のように述べています。

 「腎細胞がんの術後補助療法は数十年にわたり研究されてきましたが、再発リスクの高い早期腎細胞がん患者さんに対する術後補助療法の選択肢は限られていました。KEYNOTE-564試験では、ペムブロリズマブにより再発または死亡のリスクが32%低下し、再発リスクが中~高度または高度の特定の患者さんに対する新たな治療の選択肢となりうることが示されました。FDAの承認を取得したことでペムブロリズマブは重大なアンメットニーズに対応し、適切に選択された患者さんに対する術後補助療法の新たな標準治療となる可能性があります」