「ニュベクオ+ドセタキセル+ADT」併用療法、全生存期間を有意に改善

2022/01/17

文:がん+編集部

 転移性ホルモン感受性前立腺がんを対象としたARASENS試験で、「ダロルタミド(製品名:ニュベクオ)+ドセタキセル+アンドロゲン遮断療法(ADT)」併用療法が、標準治療と比べて全生存期間の有意な延長を示しました。

ニュベクオ、ARと高い親和性で結合し強力な阻害作用を発揮する経口AR阻害薬

 独バイエル社は2021年12月3日、転移性ホルモン感受性前立腺がんを対象に、経口アンドロゲン受容体(AR)阻害薬ダロルタミドを評価したARASENS試験で、主要評価項目を達成したことを発表しました。

 ARASENS試験は、新たに転移性ホルモン感受性前立腺がんと診断された患者さん1,306人を対象に、「ダロルタミド+ドセタキセル+ADT」併用療法と「プラセボ+ドセタキセル+ADT」併用療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、副次的評価項目は去勢抵抗性前立腺がんに進行するまでの期間、次の抗がん剤治療を開始するまでの期間、症候性の骨関連事象の初回発生までの期間、疼痛増悪までの期間などでした。

 試験の結果、「ダロルタミド+ドセタキセル+ADT」併用療法は「プラセボ+ドセタキセル+ADT」併用療法と比較して全生存期間を有意に延長しました。報告された有害事象全体の発現率は、比較された併用療法と同様でした。

 ダロルタミドは、アンドロゲン受容体阻害薬で、受容体と高い親和性で結合し、強力な阻害作用を発揮することで、アンドロゲン受容体機能と前立腺がん細胞の増殖を阻害する経口薬です。

 同社のシニア・バイス・プレジデントで医療用医薬品部門のオンコロジー開発責任者のスコット・フィールズ氏は、次のように述べています。

 「転移性ホルモン感受性前立腺がん患者さんには、治療アウトカムを改善するような新たな治療アプローチへの大きなニーズが存在します。ドセタキセル+ADTにダロルタミドを加えた併用療法が、患者さんの全生存期間の延長につながるかを検討する前向き試験として、ARASENS試験はデザインされました。この重要な試験に参加してくださった患者さんと医師の皆さんに感謝します。詳細な結果を今後の学会で報告できることを楽しみにしています」