HER2陽性の乳がんの二次治療としてエンハーツを評価したDESTINY-Breast03試験の最新データを発表

2022/01/20

文:がん+編集部

 HER2陽性の乳がんを対象に、トラスツズマブ デルクステカン(製品名:エンハーツ)を二次治療として評価したDESTINY-Breast03試験の最新データが米国サンアントニオ乳がんシンポジウムで発表されました。

エンハーツ、カドサイラと比較して無増悪生存期間を延長

 第一三共とアストラゼネカは2021年12月10日、HER2陽性の再発・転移性乳がんの二次治療としてトラスツズマブ デルクステカンを評価したDESTINY-Breast03試験の解析結果を米国サンアントニオ乳がんシンポジウムで報告したことを発表しました。

 DESTINY-Breast03試験は、HER2陽性の切除不能な転移性乳がん患者さんを対象に、二次治療としてトラスツズマブ デルクステカンとトラスツズマブ エムタンシン(製品名:カドサイラ)を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間、奏効率、奏効期間などでした。

 安定した脳転移があるHER2陽性の再発・転移性乳がん患者さん82人の解析では、トラスツズマブ デルクステカンはトラスツズマブ エムタンシンと比較して無増悪生存期間の延長が認められました。トラスツズマブ デルクステカンの無増悪生存期間の中央値は15.0か月、トラスツズマブ エムタンシンは3.0か月でした。奏効率は、トラスツズマブ デルクステカン67.4%、トラスツズマブ エムタンシン20.5%でした。

 HER2陽性の再発・転移性乳がん患者さん257人では、安全性に関わる新たな懸念は認められませんでした。グレード3以上の有害事象として、好中球減少症(19.1%)、血小板減少症(7.0%)などが認められました。間質性肺疾患は、10.5%が治療と関連のありと判定され、グレード1が2.7%、グレード2が7.0%、グレード3が0.8%で、グレード4およびグレード5の有害事象は認められませんでした。