ルマケラス、KRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの治療薬として国内承認
2022/02/15
文:がん+編集部
ソトラシブ(製品名:ルマケラス)が、がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの治療薬として国内承認されました。
ルマケラス、KRAS G12C変異陽性の非小細胞肺がんに対し、全奏効率37.4%で有効性を示す
アムジェンは2022年1月20日、KRAS G12C阻害薬ソトラシブが、「がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の効能・効果で、厚生労働省から製造販売承認されたことを発表しました。今回の承認は、CodeBreaK100試験の結果に基づくものです。
CodeBreaK100試験は、KRAS G12C変異がある固形がん患者さんを対象とした第1/2相試験です。対象患者さんは、がん種およびステージに応じた全身化学療法歴があり、第2相パートには非小細胞肺がん患者さん126人が参加していました。第2相パートの主要評価項目は全奏効率でした。
非小細胞肺がん患者さんに対する解析では、全奏効率37.4%でした。安全性に関しては67.4%の患者さんで副作用が認められました。発現率が5%以上の主な副作用は、下痢(27.9%)、悪心、ALT増加、AST増加(各16.3%)、疲労(11.1%)、血中アルカリホスファターゼ増加(7.9%)、嘔吐(7.4%)および腹痛(5.3%)でした。
KRAS G12C変異がある非小細胞肺がん患者さん対象の、ソトラシブとドセタキセルを比較する第3相試験「CodeBreaK200」の募集は完了。さまざまな進行固形がんを対象としてソトラシブの単剤療法および併用療法を検討する複数の第1b相試験「CodeBreaK101」では、参加募集集です。また、ステージ4のKRAS G12C変異がある非小細胞肺がん患者さんの一次治療としてソトラシブを評価する第2相試験「CodeBreaK201」が実施中です。
近畿大学 医学部 外科学教室 呼吸器外科部門主任教授、前世界肺癌学会理事長、前日本肺癌学会理事長 光冨 徹哉先生は、次のように述べています。
「もともと遠隔転移があって手術の対象とならなかったり、手術後に再発した非小細胞肺がん患者さんの予後は一般に不良です。その中で、近年の分子標的治療や免疫治療の発展は予後を改善してきました。しかし、KRAS G12C変異の頻度は比較的高いのにも関わらず、これまでこの変異に特異的な薬物はわが国において承認されていませんでした。この度のルマケラスの日本における製造販売承認は、KRAS G12C変異を有する非小細胞肺がん患者さんにとって特異的な治療が可能となる画期的な出来事といえます」