キイトルーダ、ステージ1B~3Aの非小細胞肺がんの術後補助化学療法として無病生存期間を延長

2022/02/18

文:がん+編集部

 ステージ1B~3Aの非小細胞肺がんの術後補助化学療法として、ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)を評価したKEYNOTE-091試験で、無病生存期間の改善が認められました。

PD-L1高発現に対する無病生存期間、全生存期間の評価は継続中

 米メルクは2022年1月10日、ステージ1B~3Aの非小細胞肺がんの術後補助化学療法として、ペムブロリズマブを評価したKEYNOTE-091試験の結果を発表。主要評価項目の1つ無病生存期間の延長を達成しました。

 KEYNOTE-091試験は、肺葉切除または肺切除後のステージ1B〜3Aの非小細胞肺がん患者さん1,177人を対象に、術後補助療法としてペムブロリズマブとプラセボを比較する第3相試験です。主要評価項目は、すべての患者さんおよびPD-L1高発現の患者さんの無病生存期間です。無病生存期間は、再発または新たな原発性の肺がんの発生、新たながんの発生、原因を問わない死亡までの時間と定義されました。副次的評価項目は、全生存期間、肺がんによる死亡までの時間などでした。

 すべての患者さんを対象とした解析の結果、ペムブロリズマブはプラセボと比較して無病生存期間を統計学的に有意に延長。PD-L1高発現の患者さんに対する解析でも、無病生存期間の延長が認められましたが、事前に設定された統計解析計画に基づく統計学的な有意差は示されませんでした。

 安全性に関しては、これまでに報告されている試験の結果と一貫していました。

 共同治験責任医師で英国ロンドンのThe Royal Marsden, NHS Foundation TrustおよびImperial CollegeのMary O’Brien教授は、次のように述べています。

 「早期の非小細胞肺がんのほとんどの患者さんでは、まず手術を行うことが最も重要な治療と広く考えられています。一方で、手術を受けた患者さんの43%が再発すると推定されています。KEYNOTE-091試験では、1B〜3A期の非小細胞肺がんのすべての患者さんにおいて、キイトルーダによる術後補助療法により、術後の再発または死亡のリスクの低下が示されました」

 また、共同治験責任医師でスペインのマドリッドにあるHospital Universitario Doce de Octubreの腫瘍内科部長のLuis Paz-Ares博士は、次のように述べています。

 「肺がんは世界的にがんによる死亡の上位を占めており、肺がんの早期発見、早期治療は非常に重要です。術後補助療法の目的は、術後のがん再発リスクを抑制することです。キイトルーダをより早期の非小細胞肺がんに使うことで、1B〜3A期の非小細胞肺がん患者さんの術後の再発リスクを抑えられる可能性があります」