「イミフィンジ+化学療法」、進行胆道がんの一次治療として全生存期間と無増悪生存期間を改善

2022/02/21

文:がん+編集部

 進行胆道がんの一次治療として、「デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)+化学療法(ゲムシタビンおよびシスプラチン)」併用療法を評価したTOPAZ-1試験で、全生存期間と無増悪生存期間の改善が認められました。

「イミフィンジ+化学療法」、化学療法と比べて死亡リスクを20%低下

 アストラゼネカは2022年1月18日、進行胆道がんの一次治療として、「デュルバルマブ+化学療法」併用療法を化学療法と比較したTOPAZ-1試験の良好な結果を発表。統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間および無増悪生存期間の延長が認められました。

 TOPAZ-1試験は、肝内胆管がん、肝外胆管がん、胆嚢がん(乳頭部がんを除く)などの切除不能な進行または転移性胆道がん患者さん685人を対象に、一次療法として「デュルバルマブ+化学療法」と、「プラセボ+化学療法」を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、主要な副次評価項目は無増悪生存期間、全奏効率、安全性でした。

 全生存期間の中間解析の結果、「デュルバルマブ+化学療法」12.8か月、「プラセボ+化学療法」11.5か月で、死亡リスクを20%低下しました。治療開始から2年時点の生存率は、「デュルバルマブ+化学療法」25%、「プラセボ+化学療法」10%でした。

 無増悪生存期間の中間解析の結果では、「デュルバルマブ+化学療法」7.2か月、「プラセボ+化学療法」5.7か月で、病勢進行または死亡リスクを25%低下しました。奏効率は、「デュルバルマブ+化学療法」26.7%、「プラセボ+化学療法」18.7%でした。

 安全性に関しては、「デュルバルマブ+化学療法」は「プラセボ+化学療法」と比較して有害事象による投与中止率の上昇は認められませんでした。グレード3または4の治療に関連する有害事象が、「デュルバルマブ+化学療法」62.7%、「プラセボ+化学療法」64.9%で認められ、投与中止に至った治療に関連のある有害事象は、「デュルバルマブ+化学療法」8.9%、「プラセボ+化学療法」11.4%でした。

 ソウル国立大学病院の内科腫瘍専門医兼ソウル国立大学医学部の教授であり、TOPAZ-1試験の治験責任医師でもあるDo-Youn Oh氏は、次のように述べています。

 「進行胆道がんの治療は10年以上もの間大きな進展がなく、今回のTOPAZ-1試験の結果は患者さんにとって非常に大きな進歩です。イミフィンジと化学療法の併用療法は、良好な安全性プロファイルが示されたとともに標準療法と比べて生存期間延長が示されました。現状、予後が非常に不良な進行胆道がん治療において、この併用療法はこれまでの治療を変えうる新たな治療選択肢となる可能性があります」