切除可能な原発または再発の頭頸部がんを対象に、がん光免疫療法を評価する臨床試験に1人目を登録
2022/03/02
文:がん+編集部
切除可能な原発または再発の頭頸部がんを対象に、がん光免疫療法(イルノミックス治療)を評価する臨床試験に1人目の患者さんが登録されました。
ASP-1929-103試験、手術可能な頭頸部がんに対象を広げASP-1929によるがん光免疫療法を評価
楽天メディカルと島津製作所は2022年2月16日、ASP-1929による光免疫療法の臨床試験「ASP-1929-103試験」に、米国国立衛生研究所の国立がん研究所で1人目の患者さんを登録したことを発表しました。
ASP-1929-103試験は、切除可能な原発または再発の頭頸部扁平上皮がんおよび皮膚扁平上皮がん患者さんを対象に、蛍光イメージングを用いた抗体薬物複合体ASP-1929による光免疫療法の有効性と安全性を評価する第2相試験。募集人数は、22人の予定です。主要評価項目は24か月間の病理学的な腫瘍反応、副次的評価項目は24か月間の無増悪生存期間、全生存期間です。さらに、光感受性物質IR700の蛍光発光をリアルタイムに観察・記録し、システムの臨床における利用可能性が評価されます。
楽天メディカルのチーフ・エグゼクティブ・オフィサーである三木谷浩史氏は、次のように述べています。
「当社は、ASP-1929を用いた光免疫療法単独の治療や抗PD-1抗体との併用治療にて、切除不能な再発頭頸部扁平上皮がんおよび皮膚扁平上皮がんを対象とした試験を既に実施しています。今回の試験では、患者群を拡大して、手術で切除可能ながんを対象としています。本試験の結果によって、一人でも多くの患者さんに、楽天メディカルの光免疫療法をお届けできることに繋がればと願っています」
また、島津製作所の代表取締役社長である上田輝久氏は、次のように述べています。
「光免疫療法の為、当社の蛍光可視化技術を用い、楽天メディカルと蛍光イメージングシステムを開発しました。今回、本試験では、腫瘍部の状態の可視化を行うため、当社の技術による蛍光イメージングシステムで光免疫療法の光照射中のIR700の反応をリアルタイムに観察・記録します。早期がんを含む多くの患者さんに、一日も早く本治療をお届けすることに、当社の蛍光可視化技術が貢献できることを願っています」
ASP-1929とレーザ装置は、2020年9月に「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」の適応で国内承認されています。また、ASP-1929によるその他の試験については、楽天メディカルが、再発頭頸部扁平上皮がんを対象とした国際共同第3相臨床試験、および、米国で頭頸部扁平上皮がんおよび皮膚扁平上皮がんを対象とした抗PD-1抗体との併用療法による第1b/2相試験を実施中です。