悪性骨軟部肉腫に対し、腫瘍溶解性ウイルス薬を評価する医師主導第2相試験を開始

2022/03/08

文:がん+編集部

 悪性骨軟部肉腫に対し、腫瘍溶解性ウイルス医薬「サバイビン反応性m-CRA-1」を評価する医師主導の第2相試験が開始されました。

サバイビン反応性m-CRA-1、がん細胞を増殖しながら破壊する腫瘍溶解性ウイルス医薬

 鹿児島大学病院は2022年2月28日、独自開発したがん細胞のみを殺傷する遺伝子組換えウイルス医薬「サバイビン反応性m-CRA-1」の、悪性骨軟部肉腫に対する承認を目指した第2相医師主導治験を開始したことを発表しました。

 サバイビン反応性m-CRA-1は、同病院の探索的医療開発センターの小戝健一郎センター長らが開発したウイルス医薬です。がん細胞のほとんどで生み出されている異常な「サバイビン」という遺伝子の発生メカニズムに反応し、増殖しながらがん細胞を破壊していきます。正常細胞には反応しないため、安全性が高く、副作用が少ないことが動物実験で確認されています。

 今回開始した第2相試験に先立ち、2016年から鹿児島大学病院では9人の悪性骨軟部肉腫の患者さんに対し第1相試験が行われました。試験の結果、重篤な有害事象は確認されず、有効性を示唆する結果が認められたため、同病院、国立がん研究センター中央病院、久留米大学の多施設共同試験として悪性骨腫瘍に対する試験が行われることになりました。

 小戝健一郎センター長は、次のように述べています。

 「一刻も早く患者さんに届け、将来的には多くのがんに対する適用を目指したい」

 また、治験を担当する永野聡副センター長は、次のように述べています。

 「骨腫瘍は希少がんのため、製薬会社も治療薬が開発しにくい状況でした。実用化すれば、患者さんの希望の光になるのではと考えています」