バベンチオ、進行性尿路上皮がんの一次治療の維持療法として全生存期間を延長
2022/03/23
文:がん+編集部
局所進行または転移性の尿路上皮がんを対象に、一次治療の維持療法としてアベルマブ(製品名:バベンチオ)を評価したJAVELIN Bladder 100試験で、全生存期間の延長が認められました。
「バベンチオ+BSC」、BSCと比べ死亡リスクを24%減少
独メルク社は2022年2月18日、JAVELIN Bladder 100試験の最初の主要解析から19か月延長した追跡調査の解析結果を発表しました。
JAVELIN Bladder 100試験は、局所進行または転移性の尿路上皮がんを対象に、一次治療の維持療法として「アベルマブ+ベスト・サポーティブ・ケア(BSC)」とBSCを比較した第3相試験です。主要評価項目は、全患者さんとPD-L1陽性の患者さんに対する全生存期間、副次的評価項目は、それぞれの患者さんに対する無増悪生存期間、抗腫瘍効果、安全性、薬物動態、免疫原性、バイオマーカー、患者報告アウトカムなどでした。
38か月の追跡調査の結果、全患者さん対象の全生存期間の中央値は「アベルマブ+BSC」23.8か月、BSC15.0か月で、死亡リスクを24%減少しました。
PD-L1陽性患者さん対象の解析では、全生存期間の中央値が「アベルマブ+BSC」30.9か月、BSC18.5か月で、死亡リスクを31%減少しました。
アベルマブの安全性に関しては、これまでの安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。
泌尿器生殖器腫瘍学の教授で、英国・ロンドンのクイーンメアリー大学バーツがん研究所の固形腫瘍研究責任者であり、バーツがんセンター所長も務める Thomas Powles 医師は、次のように述べています。
「アベルマブ+BSCの一次治療の維持療法は、導入後、NCCN(全米総合がんセンターネットワーク)、ESMO(欧州臨床腫瘍学会)、EAU(欧州泌尿器科学会)、JUA(日本泌尿器科学会)のガイドラインにおいて最高レベルのエビデンスで推奨され、アベルマブを用いた一次治療の維持療法が局所進行性または転移性尿路上皮がん治療における標準治療となりました。今回の解析結果は、一次治療の維持療法の有用性、ならびに本疾患の維持療法において生存率改善を示した唯一の免疫チェックポイント阻害剤であるアベルマブの有用性をさらに裏付けるものです」