「パージェダ+ハーセプチン」併用療法、HER2陽性大腸がんに対し適応追加

2022/04/18

文:がん+編集部

 「ペルツズマブ(製品名:パージェタ)+トラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)」併用療法が、HER2陽性の大腸がんに対する効能・効果で承認されました。

HER2陽性大腸がん、大腸がん全体の1~5%を占める希少なサブタイプに対する新たな治療選択肢

 中外製薬は2022年3月28日、「ペルツズマブ+トラスツズマブ」併用療法が、「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」に対する適応追加として厚生労働省から承認されたことを発表しました。今回の承認は、TRIUMPH試験の結果に基づくものです。

 TRIUMPH試験は、化学療法歴のあるHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の大腸がん患者さんを対象に、「ペルツズマブ+トラスツズマブ」併用療法の有効性と安全性を評価した医師主導の国内第2相試験です。主要評価項目は奏効割合、副次的評価項目は無増悪生存期間、奏効期間、治療成功期間、病勢コントロール率、全生存期間、有害事象発生割合などでした。

 解析の結果、腫瘍組織でHER2が確認された患者さんの29.6%、血液検体でHER2陽性かつRAS野生型が確認された患者さんの28.0%に奏効が認められました。主な有害事象は、注入に伴う反応、下痢、食欲減退、悪心、口内炎および上咽頭炎でした。

 同社の代表取締役社長 CEOの奥田 修氏は、次のように述べています。

 「大腸がんには多くの有効な治療薬が存在しますが、近年の遺伝子研究により、標準治療では十分な効果が得られていない患者さんの存在が明らかになってきました。こうした患者さんに対し、パージェタとハーセプチンによる併用療法を、個別化医療に基づく新たな治療選択肢として提供できることを大変嬉しく思います。HER2陽性大腸がんは、大腸がん全体の1~5%を占める希少なサブタイプであり、今回の承認は、このサブタイプに対して国内外で初めて個別化医療の道を開くものです。承認の基礎となった医師主導治験にご参加下さった患者さんとそのご家族、医療関係者の皆様をはじめ、承認をご支援くださった方々に改めて感謝申し上げます。大腸がんの治療に本併用療法をお役立ていただくべく、適正使用情報の提供に努めてまいります」