「チラゴルマブ+テセントリク+化学療法」、進展型小細胞肺がんに対し全生存期間の改善を示さず

2022/04/26

文:がん+編集部

 進展型小細胞肺がんに対する一次治療として、「チラゴルマブ+アテゾリズマブ(製品名:テセントリク)+化学療法(カルボプラチン+エトポシド)」併用療法を評価したSKYSCRAPER-02試験の中間解析結果が発表。主要評価目の全生存期間は達成されませんでした。

今後予定されている最終解析でも統計学的な有意差が達成される見込みは低い

 ロシュ社は2022年3月30日、進展型小細胞肺がんを対象としたSKYSCRAPER-02試験の最新情報を発表しました。

 SKYSCRAPER-02試験は、進展型小細胞肺がん患者さん490人を対象に、一次治療として「チラゴルマブ+アテゾリズマブ+化学療法」と、「アテゾリズマブ+化学療法」を比較した第3相試験です。主要評価項目は、主要解析対象集団(脳転移のないランダム化された全患者さん)に対する全生存期間、無増悪生存期間です。主要な副次的評価項目は、ランダム化された全患者さんに対する全生存期間、無増悪生存期間、安全性などです。

 中間解析の結果、主要評価項目の1つである全生存期間は達成されず、今後予定されている最終解析でも統計学的な有意差に達する可能性は低いことが予想されています。安全性に関しては、チラゴルマブ併用による新たな安全性シグナルは示されませんでした。

 チラゴルマブは、免疫チェックポイントの1つTIGITと選択的に結合する、新たな免疫チェックポイント阻害薬です。TIGITは、PD-L1/PD-1経路とは異なる免疫チェックポイント経路ですが、相補的な関係にあり、非臨床研究から、アテゾリズマブと共に免疫増強薬として働くと考えられています。チラゴルマブとアテゾリズマブによる免疫チェックポイントの二重阻害は、免疫抑制の克服と免疫応答の回復に有用である可能性があると考えられています。