急性白血病に対する新たな分子標的薬を評価する第1/2相試験を開始

2022/04/28

文:がん+編集部

 急性白血病の治療薬として開発された新たな分子標的薬を評価する、第1/2相試験が開始されました。MLL遺伝子およびNPM1遺伝子変異がある急性白血病に対する治療薬の開発が目的です。

DSP-5336、MLL転座白血病およびNPM1遺伝子変異白血病を予定適応症として開発

 大日本住友製薬(現:住友ファーマ)は2022年3月31日、日本および北米で実施中の急性白血病を対象とした新薬候補化合物「DSP-5336」の第1/2相試験で、最初の患者さんへの投与を開始したことを発表しました。

 庄内地域産業振興センター/国立がん研究センター・鶴岡連携研究拠点がんメタボロミクス研究室の横山 明彦チームリーダーの研究チームは、MLL染色体転座の結果生み出されるMLL融合タンパク質がMENINタンパク質と結合することで急性白血病を発症するメカニズムを世界に先駆けて発見。この研究成果に基づき、MLLタンパク質とMENINタンパク質との結合を選択的かつ強力に阻害する新薬候補化合物「DSP-5336」が開発されました。

 急性白血病では治癒が期待できない予後不良の患者さんが存在し、特にMLL遺伝子の染色体に転座が見られる患者さんの5年生存率は20%以下と報告されており、新たな分子標的薬の開発が強く望まれています。

 同社は、MLL転座白血病およびNPM1遺伝子変異白血病を予定適応症として「DSP-5336」の開発を進める予定です。