「チラゴルマブ+テセントリク」を評価したSKYSCRAPER-01試験で、主要評価項目の1つ無増悪生存期間を達成せず
2022/05/26
文:がん+編集部
PD-L1強陽性の局所進行または転移性の非小細胞肺がんに対する一次治療として、「チラゴルマブ+アテゾリズマブ(製品名:テセントリク)」を評価した臨床試験の中間解析の結果が発表。主要評価項目の1つ無増悪生存期間の延長が達成されませんでした。
全生存期間の評価は、次回解析まで継続の予定
ロシュ社は2022年5月11日、PD-L1強陽性の局所進行または転移性の非小細胞肺がんに対する一次治療として、「チラゴルマブ+アテゾリズマブ」とアテゾリズマブを比較したSKYSCRAPER-01試験の中間解析の結果を発表しました。主要評価項目の1つである無増悪生存期間の延長を達成しませんでした。
SKYSCRAPER-01試験は、未治療でPD-L1強陽性の、局所進行、切除不能または転移性非小細胞肺がん患者さん534人を対象に、「チラゴルマブ+アテゾリズマブ」とアテゾリズマブを比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、全生存期間でした。
中間解析の結果、主要評価項目の1つ無増悪生存期間を達成できませんでした。もう1つの主要評価項目の全生存期間は、十分なイベント数に達していないため、予定された次回の解析まで継続されます。2つの主要評価項目は、数値上では改善が認められています。また、「チラゴルマブ+アテゾリズマブ」の忍容性は確認され、チラゴルマブ併用による新たな安全性シグナルは認められませんでした。
チラゴルマブは、免疫チェックポイント分子TIGITと選択的に結合する新規の免疫チェックポイント阻害薬です。免疫チェックポイントのTIGIT経路とPD-L1/PD-1経路は相補的な関係にあり、非臨床試験では、アテゾリズマブとの併用で免疫増強剤として働くと考えられています。チラゴルマブとアテゾリズマブによる二重阻害は、免疫抑制の克服と免疫応答の回復に有用である可能性があると考えられています。