2種類のオプジーボ併用療法、切除不能な進行または転移性食道扁平上皮がんの一次治療としてFDAが承認

2022/06/15

文:がん+編集部

 切除不能な進行または転移性食道扁平上皮がんの一次治療として、2種類のニボルマブ(製品名:オプジーボ)併用療法を米国食品医薬品局(FDA)が承認しました。「ニボルマブ+化学療法(フルオロピリミジン系薬剤+プラチナ系薬剤を含む)」併用療法と「ニボルマブ+イピリムマブ(製品名:ヤーボイ)併用療法の2つです。

2種類のオプジーボ併用療法、PD-L1発現レベルに関わらず使用可能

 ブリスト ルマイヤーズ スクイブ社は2022年5月27日、PD-L1発現レベルにかかわらず、切除不能な進行または転移性食道扁平上皮がんの一次治療薬として、「ニボルマブ+化学療法」併用療法および「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法を、FDAが承認したことを発表しました。今回の承認は、ChecMate-648試験の結果に基づくものです。

 ChecMate-648試験は、未治療の切除不能な進行、再発または転移性食道扁平上皮がんの成人患者さんを対象に、「ニボルマブ+化学療法」または「ニボルマブ+イピリムマブ」を化学療法(フルオロウラシル+シスプラチン併用療法)と比較評価した第3相臨床試験です。主要評価項目は、ニボルマブによる2種類の併用療法を化学療法と比較したPD-L1陽性(1%以上)患者さんに対する全生存期間、無増悪生存期間、副次評価項目は全無作為化患者さんに対する全生存期間と無増悪生存期間でした。

 試験の結果、「ニボルマブ+化学療法」は化学療法と比較して全無作為化患者さんに対する死亡リスクを26%低下、PD-L1陽性患者さんに対する死亡リスクが46%低下しました。「ニボルマブ+イピリムマブ」も、化学療法と比較して全無作為化患者さんに対する死亡リスクを22%低下、PD-L1陽性患者さんに対する死亡リスクを36%低下しました。

 「ニボルマブ+化学療法」の安全性に関して、副作用により39%の患者さんが「ニボルマブおよび/または化学療法」併用療法の投与を中止し、71%が投与を延期されました。重篤な副作用は62%で発現。2%以上で報告された重篤な副作用は、肺炎(11%)、嚥下障害(7%)、食道狭窄(2.9%)、急性腎障害(2.9%)および発熱(2.3%)でした 。致死的な副作用は1.6%で発現し、これらには、肺臓炎、腸壁気腫症、肺炎および急性腎障害が含まれました。20%以上で報告された副作用は、悪心(65%)、食欲減退(51%)、疲労(47%)、便秘(44%)、口内炎(44%)、下痢(29%)および嘔吐(23%)でした。

 「ニボルマブ+イピリムマブ」の安全性に関して、副作用により23%の患者さんが「ニボルマブおよび/またはイピリムマブ」併用療法の投与を中止し、46%が投与を延期されました。重篤な副作用は69%で発現。2%以上で報告された重篤な副作用は、肺炎(10%)、発熱(4.3%)、肺臓炎(4%)、誤嚥性肺炎(3.7%)、嚥下障害(3.7%)、肝機能異常(2.8%)、食欲減退(2.8%)、副腎不全(2.5%)および脱水(2.5%)でした。致死的な副作用は1.6%で発現し、これらには、肺臓炎、間質性肺疾患、肺塞栓症および急性呼吸促迫症候群が含まれました。20%以上で報告された副作用は、発疹(31%)、疲労(28%)、発熱(23%)、悪心(22%)、下痢(22%)および便秘(20%)でした。

 CheckMate-648試験の共同筆頭著者および米国治験責任医師であり、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター消化器腫瘍内科教授のJaffer A. Ajani医師は、次のように述べています。

 「本日の承認は、進行または転移性食道扁平上皮がんの多くの患者さんと腫瘍科医にとって喜ばしいニュースです。切除不能な進行または転移性食道扁平上皮がんは治療が難しく、ファーストライン治療において生存期間を延長する可能性のある新しい治療選択肢が必要とされています。CheckMate-648試験では、オプジーボによる2種類の併用療法が、化学療法と比較して生存ベネフィットを示し、PD-L1発現レベルにかかわらず使用できる新しい治療選択肢がもたらされました」

 主な有効性評価項目の解析結果は、以下の通りです。

PD-L1陽性患者さんに対する全生存期間
ニボルマブ+化学療法:15.4か月
ニボルマブ+イピリムマブ:13.7か月
化学療法:9.1か月

PD-L1陽性患者さんに対する無増悪生存期間
ニボルマブ+化学療法:6.9か月
ニボルマブ+イピリムマブ:4.0か月
化学療法:4.4か月

全無作為化患者さんに対する全生存期間
ニボルマブ+化学療法:13.2か月
ニボルマブ+イピリムマブ:12.8か月
化学療法:10.7か月

全無作為化患者さんに対する無増悪生存期間
ニボルマブ+化学療法:5.8か月
ニボルマブ+イピリムマブ:未解析
化学療法:5.6か月