進行性固形がんを対象に、「FF-10832+キイトルーダ」併用療法を評価する第2a相試験が米国で開始

2022/06/20

文:がん+編集部

 進行性固形がんを対象に、「FF-10832+ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)」併用療法を評価する第2a相試験が米国で開始されました。

FF-10832、ゲムシタビンをリポソームに内包したリポソーム製剤

 富士フイルムは2022年6月1日、進行固形がんを対象に「FF-10832+ペムブロリズマブ」併用療法を評価する第2a相試験を米国で開始したことを発表しました。

 リポソーム製剤は、細胞膜や生体膜の構成成分である有機物の「リン脂質」などをカプセル状にした微粒子で、薬剤などを内包することで有効成分を患部に効率的に送り届け長時間滞留することができます。

 FF-10832は、ゲムシタビンをリポソームに内包したリポソーム製剤です。マウスによる動物実験では、免疫チェックポイント阻害薬との併用により、がん細胞などを殺傷するCD8陽性キラーT細胞が、がん組織内で増加し、それぞれの単剤投与よりも生存期間が大幅に延びることが確認されました。

 今回開始された「A Phase 2a Study With Safety Run-in to Evaluate the Safety, Tolerability, and Preliminary Efficacy of FF-10832 Monotherapy or in Combination With Pembrolizumab in Patients With Advanced Solid Tumors」試験は、標準療法後に増悪した、主に非小細胞肺がんや尿路上皮がん患者さんなど進行性固形がん患者さんを対象に、「FF-10832+ペムブロリズマブ」併用療法および「FF-10832」単剤治療の安全性や忍容性、初期の有効性が評価されます。登録患者数は、100人程度の予定です。

 主要評価項目は有害事象発生率、副次的評価項目は安全性、奏効率、奏効期間、無増悪生存期間、全生存期間などです。

 同社は、次のように述べています。

 「独自技術を活用して、リポソームや脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticle)などのドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術の研究開発、DDS技術を用いた新薬開発に取り組むことで、新たな価値を創出し、アンメットメディカルニーズへの対応など社会課題の解決に貢献していきます」