「RM-1995」による制御性T細胞を標的とした光免疫療法、楽天メディカルとAMEDが委託研究開発契約を締結

2022/06/21

文:がん+編集部

 抗CD25抗体-色素複合体の「RM-1995」による制御性T細胞を標的としたアルミノックス治療(光免疫療法)に関して、楽天メディカルと日本医療研究開発機構(AMED)が委託研究開発契約を締結しました。この研究開発は転移性肝腫瘍がある固形がん患者さんが対象です。

RM-1995による光免疫療法、転移性肝腫瘍がある固形がん患者さんを対象に開発

 楽天メディカルは2022年6月1日、「抗CD25抗体-色素複合体(RM-1995)を用いた制御性T細胞を標的とした革新的がん治療法の開発」が、AMEDによる令和3年度「医療研究開発革新基盤創成事業」(第6回)の「スタートアップ型」に2021年11月に採択されたことを受け、AMEDと委託研究開発契約を締結したことを発表しました。

 この研究開発では、原発巣の固形がんおよび転移巣の治療を目的に、「転移性腫瘍」を標的に光照射が行われます。

 RM-1995は、抗CD25抗体と、光感受性物質であるIRDye700DX(IR700)との抗体-色素複合体です。抗CD25抗体は、がん細胞の増殖を助ける働きを持つ細胞(制御性T細胞)の表面に発現するCD25という分子に特異的に結合します。RM-1995を投与後、医療機器レーザシステムを用いて690nmのレーザー照射を行うことで抗CD25抗体に付加されたIR700が活性化されます。すると、制御性T細胞が特異的に減少し、全身の腫瘍に対して抗腫瘍免疫応答が誘導されると考えられています。

 同社はこの研究開発に関して、次のように述べています。

 「本研究開発では、原発巣の固形がんおよび転移巣のがん治療を目的として、光照射の標的を転移性肝腫瘍としました。肝転移は、様々ながん種でよくみられ、切除困難または切除不適応な同腫瘍に対する局所療法および全身療法の効果は限定的であると言われています。当社は、こうした背景から転移性肝腫瘍を有する固形がんに対するアンメッドメディカルニーズが高いと考え、同腫瘍を有する患者さまへ、新たな治療選択肢を提供できるよう本研究開発の取り組みを進めてまいります」