「カルケンス+ガザイバ」、慢性リンパ性白血病の初回治療として5年生存率90%を示す
2022/07/05
文:がん+編集部
「アカラブルチニブ(製品名:カルケンス)+オビヌツズマブ(製品名:ガザイバ)」併用療法を、慢性リンパ性白血病の初回治療として評価したELEVATE-TN試験の結果を発表。5年生存率90%を示しました。
「カルケンス+ガザイバ」、「リューケラン+ガザイバ」と比較して病勢進行または死亡リスクを89%低下
アストラゼネカは2022年6月4日、慢性リンパ性白血病を対象としたELEVATE-TN試験の結果を発表しました。
ELEVATE-TN試験は、未治療の慢性リンパ性白血病患者さん535人を対象に、「アカラブルチニブ+オビヌツズマブ」併用療法とアカラブルチニブ単剤療法を「クロラムブシル(製品名:リューケラン)+オビヌツズマブ」併用療法と比較した第3相試験です。
主要評価項目は、「アカラブルチニブ+オビヌツズマブ」併用療法と「クロラムブシル+オビヌツズマブ」併用療法を比較した無増悪生存期間、副次的評価項目は、アカラブルチニブ単剤療法と「クロラムブシル+オビヌツズマブ」併用療法を比較した無増悪生存期間でした。その他の副次的評価項目は、全奏効率、次治療までの期間、全生存期間などでした。
追跡調査期間中央値58.2か月時点での解析では、「アカラブルチニブ+オビヌツズマブ」併用療法は、「クロラムブシル+オビヌツズマブ」併用療法と比較して、病勢進行または死亡リスクを89%低下し、アカラブルチニブ単剤療法でも79%の低下が認められました。
「アカラブルチニブ+オビヌツズマブ」併用療法の5年生存率の推定は90%であったのに対し、アカラブルチニブ単剤療法では84%、「クロラムブシル+オビヌツズマブ」併用療法では82%でした。
安全性と忍容性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。
ELEVATE-TN試験の主任研究者である、Willamette Valleyがん研究所の研究責任者で米国腫瘍学ネットワーク血液学研究所メディカルディレクターのJeff Sharman氏は、次のように述べています。
「5年近く追跡調査を行ったELEVATE-TNの試験結果は、臨床現場で私が診てきたことの裏付けとなり、臨床医はより期待を持ってこの治療法を行うことができます。慢性リンパ性白血病の患者さんは、多くの場合、治療を長年続けているため、長期の有効性と忍容性は、医師が治療計画を決定する際に考慮する重要な条件です。今回の結果において、カルケンスとオビヌツズマブの併用が、クロラムブシルとオビヌツズマブと比較して、前治療歴のない患者さんの生存期間を延長し、また概して良好な忍容性を示しました」