エンハーツ、HER2陽性乳がんに係る二次治療薬として欧州で承認
2022/08/04
文:がん+編集部
トラスツズマブ デルクステカン(製品名:エンハーツ)が、HER2陽性乳がんに係る二次治療薬として欧州で承認されました。
エンハーツ、カドサイラと比べ病勢進行または死亡リスク(12か月)を72%低下
第一三共とアストラゼネカは2022年7月19日、トラスツズマブ デルクステカンが「抗HER2療法を受けた手術不能または転移性のHER2陽性乳がん」を適応として、欧州委員会から一部変更承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、DESTINY-Breast03試験の結果に基づくものです。
DESTINY-Breast03試験は、HER2陽性の切除不能な転移性乳がん患者さんを対象に、二次治療としてトラスツズマブ デルクステカンとトラスツズマブ エムタンシン(製品名:カドサイラ)を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間、奏効率、奏効期間などでした。
解析の結果 、12か月の無増悪生存率はトラスツズマブ デルクステカンが75.8%、トラスツズマブ エムタンシンが34.1%で、病勢進行または死亡リスクを72%低下。また12か月の全生存率はトラスツズマブ デルクステカンが94.1%、トラスツズマブ エムタンシンが85.9%で、死亡リスクを45%低下しました。全奏効率の解析では、トラスツズマブ デルクステカンが79.7%、トラスツズマブ エムタンシンが34.2%でした。
安全性に関しては、グレードにかかわらない有害事象が、トラスツズマブ デルクステカン98.1%、トラスツズマブ エムタンシン86.6%で発現。グレード3または4の有害事象は、それぞれ45.1%と39.8%で認められました。
両社は、次のように述べています。
「HER2陽性の再発・転移性の乳がん治療における新たな選択肢を提供することで、欧州のがん患者さんに貢献できるものと期待しております」