あらゆる固形がんを8種類に分類するプログラムを開発

2022/08/10

文:がん+編集部

 遺伝子変異の特徴を解析することで、あらゆる固形がんを8種類に分類するプログラムが開発されました。免疫チェックポイント阻害薬の治療を受けた固形がん患者さんのデータを解析したところ、この分類により、免疫チェックポイント阻害薬の効果予測が事前に行えることも証明されました。

免疫チェックポイント阻害薬の効果予測が事前に行えることも証明

 近畿大学は2022年7月22日、1万症例の固形がんのDNAデータから遺伝子変異の特徴を解析し、あらゆる固形がんを8種に分類する新たなプログラム「GS-PRACTICE」を開発したことを発表しました。同大学医学部産科婦人科学教室の松村 謙臣主任教授と、京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学教室の高松 士朗特定助教を中心とする研究グループによるものです。

 研究グループは、免疫チェックポイント阻害薬の効果には、遺伝子変異の量だけではなく、遺伝子変異が生じた原因も影響を与えるのではないかという仮説を立て、遺伝子変異のパターンに着目。

 約1万症例の様々な種類の固形がんについて、遺伝子変異のパターンを解析した結果、あらゆる固形がんは8種に分類できることがわかりました。特に、喫煙、紫外線などの外的要因が原因で遺伝子変異した5種は、免疫チェックポイント阻害薬の効果に関連する遺伝子発現が高いことを明らかにしました。

 このデータを基に、固形がんの遺伝子変異パターンに応じて免疫応答性の高さで分類するプログラム「GS-PRACTICE」を開発。このプログラムを使って、免疫チェックポイント阻害薬の治療を受けた固形がん患者さんを調べたところ、「GS-PRACTICE」による分類と免疫チェックポイント阻害薬の効果の有無が強く相関していることがわかりました。

 研究グループは、次のように述べています。

 「本研究結果から、GS-PRACTICEが新たな臓器横断的なバイオマーカーとして有用であり、免疫チェックポイント阻害薬の有効性が予測できることが明らかになりました。GS-PRACTICEによる予測は予後の改善に非常に有効であり、今後の臨床への応用が期待されます」