「タグリッソ+サボリチニブ」併用療法を評価したSAVANNAH試験の結果を発表

2022/09/05

文:がん+編集部

 「オシメルチニブ(製品名:タグリッソ)+サボリチニブ」併用療法を評価したSAVANNAH試験の結果を発表。高レベルのMET過剰発現および/またはMET増幅がある肺がん患者さんに対し、全奏効率49%を示しました。

「タグリッソ+サボリチニブ」、全患者さんの奏効率32%、MET高値の患者さんの奏効率49%

 アストラゼネカは2022年8月8日、「オシメルチニブ+サボリチニブ」併用療法を評価したSAVANNAH試験の良好な結果を発表しました。

 SAVANNAH試験は、EGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移性非小細胞肺がんで、METの過剰発現や増幅が認められ、オシメルチニブによる治療後に病勢進行した患者さんを対象に、オシメルチニブにサボリチニブを追加した場合の有効性を評価する第2相試験です。患者さんは、経口オシメルチニブ80mgとの併用で、サボリチニブ300mgまたは600mgを1日1回、またはサボリチニブ300mgを1日2回投与されました。

 解析の結果、全ての患者さんに対する全奏効率は32%、MET高値の患者さんの全奏効率は49%、MET低値の患者さんの全奏効率は9%でした。安全性に関しては、それぞれの単剤療法で認められている安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。グレード3以上の有害事象が認められた患者さんは45%で、最も多く報告された有害事象は、肺塞栓症、呼吸困難、好中球数減少、肺炎でした。サボリチニブに起因し、中止に至った有害事象は、患者さんの13%で発生しました。

 EGFRを標的とする治療で、EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者さんは持続的な延命効果を得られますが、ほとんどの患者さんが最終的には耐性を獲得し、METはその際に最も頻繁に現れる耐性バイオマーカーです。サボリチニブは、エクソン14スキッピング変異や他の点突然変異など、遺伝子増幅またはタンパク質の過剰発現で起こるMET受容体チロシンキナーゼを阻害する分子標的薬です。

 韓国ソウルの成均館大学医学部附属サムスンメディカルセンターの血液腫瘍学教授で、SAVANNAH試験の治験責任医師であるMyung-Ju Ahn博士は、次のように述べています。

 「標的治療に対する耐性獲得と病勢進行は、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者さんのほとんどが直面する困難な問題です。今回発表されたSAVANNAH試験の結果は、サボリチニブのようなMETを標的とした治療法による治療効果が最も得られるようなMET過剰発現および/または増幅を有する患者さんを同定する新たなアプローチの裏付けとなる可能性があります。また、適切なバイオマーカー検査戦略により、耐性を獲得してしまった患者さんにとって、METはこれまでの理解よりも有力な標的となり、オシメルチニブとサボリチニブ併用療法レジメンのさらなる探求につながります」

 主な有効性解析の結果は、以下の通りです。

全奏効率
全患者:32%
MET高値:49%
MET高値(化学療法歴なし):52%
MET低値:9% 奏効期間(中央値)
全患者:8.3か月
MET高値:9.3か月
MET高値(化学療法歴なし):9.6か月
MET低値:6.9か月 無増悪生存期間(中央値)
全患者:5.3か月
MET高値:7.1か月
MET高値(化学療法歴なし):7.2か月
MET低値:2.8か月 病勢コントロール率
全患者:61%
MET高値:74%
MET高値(化学療法歴なし):75%
MET低値:43%