切除不能な肝細胞がんを対象に、「レンビマ+キイトルーダ」とレンビマを比較したLEAP-002試験の結果を発表

2022/10/04

文:がん+編集部

 切除不能な肝細胞がんを対象に、「レンバチニブ(製品名:レンビマ)+ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)」併用療法とレンバチニブを比較したLEAP-002試験の結果が発表されました。主要評価項目の1つ全生存期間の解析では、事前に設定された統計学的有意性の基準を満たしませんでした。

「レンビマ+キイトルーダ」、レンビマと比較して全生存期間の統計学的な有意差を認めず

 エーザイと米メルク社は2022年9月12日、切除不能な肝細胞がんを対象に、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法とレンバチニブを比較したLEAP-002試験の結果を欧州臨床腫瘍学会年次総会で口頭報告したことを発表しました。

 LEAP-002試験は、切除不能な肝細胞がんの一次治療として、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」併用療法とレンバチニブを比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、重要な副次的評価項目は奏効率などでした。

 主要評価項目の1つ全生存期間(中央値)の最終解析の結果、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」は21.2か月、レンバチニブは19.0か月で、事前に設定された統計学的有意性の基準を満たしませんでした。また、無増悪生存期間(中央値)の最終解析の結果、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」は8.2か月、レンバチニブは8.1か月でした。奏効率は、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」は26.1%、レンバチニブは17.5%でした。

 安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと同様でした。グレード3~4の有害事象の発現率は、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」61.5%、レンバチニブ56.7%で、グレード5の有害事象は、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」1.0%、レンバチニブ0.8%でした。また、全グレードで最も頻度の高い有害事象は、「レンバチニブ+ペムブロリズマブ」では高血圧(43.3%)、下痢(40.3%)、甲状腺機能低下症(40.0%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(33.2%)、蛋白尿(30.6%)で、レンバチニブでは高血圧(46.8%)、甲状腺機能低下症(35.7%)、蛋白尿(34.9%)、下痢(33.9%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(30.6%)でした。

 米メルク社の研究開発本部グローバル臨床開発のバイスプレジデントであるGregory Lubiniecki博士は、次のように述べています。

 「LEAP-002試験のデザインは、より多くの肝細胞がん患者さんの治療アウトカムをより一層改善するために標準療法を進化させるという我々の研究戦略を反映したものです。本試験において確認された21.2か月というキイトルーダとレンビマの併用療法における全生存期間の中央値は、本併用療法のポテンシャルの追求に向けた更なる研究への重要な知見となります」

 また、エーザイのオンコロジー クリニカルリサーチ シニアバイスプレジデントであるCorina Dutcus医師は、次のように述べています。

 「LEAP-002試験の結果は、我々が期待しているものではありませんでしたが、本試験において、レンビマ単剤療法が、19.0か月という全生存期間中央値を示したことを重要と考えています。我々は、本試験から得られたデータにより、臨床プログラムにおけるレンビマとキイトルーダとの併用療法に対する理解を深めることができただけでなく、現在、日本、米国、欧州連合(EU)および中国を含む世界各国で承認され、肝細胞がんにおける治療選択肢となっているレンビマ単剤療法の新たな知見を医師の皆様に提供することができます」