切除不能な局所進行性頭頸部がんを対象に、IAP阻害薬「xevinapant」を評価した第2相試験の最新データを発表

2022/10/07

文:がん+編集部

 切除不能な局所進行性頭頸部がんを対象に、IAP阻害薬「xevinapant」を評価した第2相試験の5年生存率に関する最新データが発表されました。

「xevinapant+化学放射線療法」、「プラセボ+化学放射線療法」と比較して5年生存率がほぼ2倍に

 メルクバイオファーマは2022年9月14日、切除不能な局所進行性頭頸部扁平上皮がんに対するIAP阻害薬「xevinapant」を評価した第2相試験の最新データを発表欧州臨床腫瘍学会年次総会で発表しました。

 今回発表された第2相試験は、切除不能な局所進行性頭頸部扁平上皮がん患者さん96人を対象に、「xevinapant+化学放射線療法」と「プラセボ+化学放射線療法」を比較して、有効性と安全性が評価されました。

 最後の患者さんが無作為化されてから5年後に全生存期間を評価した結果、「xevinapant+化学放射線療法」40.3か月(中央値)、「プラセボ+化学放射線療法」36.1か月(中央値)で延長が認められ、死亡リスクが53%低下しました。また、5年生存率は「xevinapant+化学放射線療法」が53%、「プラセボ+化学放射線療法」が28%とほぼ2倍になりました。

 これまでの報告の通り、「xevinapant+化学放射線療法」の忍容性は良好で、約2年間の追跡調査では、 化学放射線療法単独の安全性プロファイルと一致しました。グレード3以上の有害事象は、「xevinapant+化学放射線療法」85%、「プラセボ+化学放射線療法」87%で認められました。「xevinapant+化学放射線療法」の15%以上で報告されたグレード3以上の主な有害事象は、嚥下障害(50%)、貧血(35%)、粘膜炎(31%)、および好中球減少症(23%)でした。また、3年後の追跡調査解析でも同様の安全性が示されました。

 Head and Neck Cancer Alliance の Executive Director である Amanda Hollinger 氏は、次のように述べています。

 「頭頸部がんは、患者さんの摂食、コミュニケーション、さらには睡眠にも大きな影響を及ぼす深刻な疾患であるにもかかわらず、過去20年間、治療法の進歩はほとんどありませんでした。今回の結果発表が、アウトカムの改善につながる新たな治療アプローチへの道を切り開くことを期待しています」