タグリッソ、EGFR陽性早期非小細胞肺がんに対する術後補助療法として無病生存期間を延長

2022/10/13

文:がん+編集部

 ステージ1B、2、3AのEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対する術後補助療法として、オシメルチニブ(製品名:タグリッソ)を評価したADAURA試験の結果を発表。臨床的に意義のある無病生存期間の延長が認められました。

タグリッソ、ステージ2、3AのEGFR陽性非小細胞肺がんに対する術後補助療法として再発または死亡リスクを77%低下

 アストラゼネカは2022年9月11日、ADAURA試験の最新解析の結果を発表しました。

 ADAURA試験は、腫瘍の完全切除術後のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者さん682人を対象に、オシメルチニブとプラセボを比較した第3相試験です。主要評価項目はステージ2、3Aの患者さんに対する無病生存期間、重要な副次的評価項目はステージ1B、2、3Aの患者さんに対する無病生存期間でした。

 2020年の解析報告から追跡期間が2年追加されたことで、全ての患者さんが3年間の術後補助療法を受けたことになりました。今回の解析結果では、ステージ2、3Aの患者さんの無病生存率が77%で、全ての患者さんでは、無病生存率が73%でした。

 ステージ2、3Aの患者さんに対する無病生存期間(中央値)は、オシメルチニブ65.8か月、プラセボ21.9か月、全ての患者さんに対する無病生存期間(中央値)は、オシメルチニブ65.8か月、プラセボ28.1か月でした。

 また、4年経過時点のオシメルチニブによる術後補助療法を受けた患者さんの約3/4が再発なく生存中でした。探索的解析では、オシメルチニブによる術後補助療法により、ステージ2、3Aの患者さんの脳または脊髄の再発リスクを76%減少させることが示されました。

 国立がん研究センター東病院の呼吸器外科長でADAURA試験の主任研究者である坪井 正博医師は、次のように述べています。

 「ADAURA試験の最新結果から、タグリッソによる術後補助療法が、早期EGFR遺伝子変異陽性肺がん患者さんの術後の無病生存期間を引き続き延長するだけでなく、中枢神経系で腫瘍が再発するリスクも変わらず減少させることが示されました。今回の結果は、術後の標的治療の選択肢がなく、高い再発率に直面してきた早期肺がん患者さんにとって、タグリッソによる術後補助療法が標準治療となり得ると期待しています」