RG6264、「HER2陽性乳がん」と「がん化学療法後に増悪したHER2陽性大腸がん」の効能・効果で国内申請

2022/10/24

文:がん+編集部

 「HER2陽性乳がん」と「がん化学療法後に増悪したHER2陽性大腸がん」の効能・効果として、「RG6264」が国内承認申請されました。RG6264は、ペルツズマブ(製品名:パージェダ)とトラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)の固定用量による配合剤です。

RG6264、初回は約8分、2回目以降は約5分で投与可能

 中外製薬は2022年9月29日、配合皮下注製剤RG6264を「HER2陽性乳がん」と「がん化学療法後に増悪したHER2陽性大腸がん」の予定適応症として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを発表しました。今回の承認申請は、FeDeriCa試験とPHranceSCa試験の結果に基づくものです。

 FeDeriCa試験は、HER2陽性早期乳がんの患者さん500人を対象に、術前および術後薬物療法として化学療法と併用したペルツズマブとトラスツズマブと化学療法と併用したペルツズマブとトラスツズマブの静注製剤を比較した第3相試験です。主要評価項目は反復投与時のペルツズマブの最低血中濃度、副次的評価項目は安全性、反復投与時のトラスツズマブの最低血中濃度、乳房および腋窩での病理学的完全奏効率などでした。

 試験の結果、固定用量の配合皮下注製剤と静注化学療法との併用により、静注製剤によるパージェタに対する血中濃度(薬物動態)の非劣性が示され、主要評価項目を達成しました。また、静注製剤によるペルツズマブ、トラスツズマブおよび化学療法に対する有効性および安全性は同等でした、

 PHranceSCa試験は、HER2陽性早期乳がんの患者さん140人を対象に、ペルツズマブとトラスツズマブの配合皮下注製剤に対する患者選好度および皮下投与の満足度を評価した第2相試験です。主要評価項目は患者選好質問票の回答に基づく、本剤に対する患者さんの選好度、副次的評価項目は本剤と、ペルツズマブとトラスツズマブの静注製剤に対する患者さんの満足度、治療継続期間における患者さんの本剤選択率などでした。

 試験の結果、点滴静注製剤より、固定用量の配合皮下注製剤の満足度が高いことが示されました。

 ペルツズマブとトラスツズマブの静注製剤を併用する場合、初回は約150分、2回目以降は60〜150分を要しますが、固定用量の配合皮下注製剤では、初回は約8分、2回目以降は約5分で投与可能です。

 同社の代表取締役社長 CEOの奥田 修氏は、次のように述べています。

 「HER2陽性の乳がんの標準治療であるパージェタおよびハーセプチンの併用療法について、配合皮下注製剤が申請できたことを嬉しく思います。投与時間の短縮は、患者さんの利便性の向上や医療現場の負担軽減につながることが期待されます。新たな価値を患者さんや医療現場に一日でも早くお届けすべく、ロシュと協働し承認取得に向けて取り組んでまいります」