「リムパーザ+ザイティガ」、転移性去勢抵抗性前立腺がんの一次治療としてCHMPから承認勧告を取得

2022/12/09

文:がん+編集部

 「オラパリブ(製品名:リムパーザ)+アビラテロン(製品名:ザイティガ)」併用療法が、転移性去勢抵抗性前立腺がんの一次治療として、欧州医薬品評価委員会(CHMP)から承認勧告を取得しました。

「リムパーザ+ザイティガ」、「プラセボ+ザイティガ」と比較して病勢進行または死亡リスクを34%低下

 アストラゼネカとメルク社は2022年11月14日、化学療法が適応とならない転移性去勢抵抗性前立腺がんの成人患者さんに対する治療薬として、「オラパリブ+アビラテロン」併用療法が、欧州連合での販売承認を勧告されたことを発表しました。今回の承認勧告は、PROpel試験の結果に基づくものです。

 PROpel試験は、化学療法または新規ホルモン薬による治療歴のない転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんを対象に、「オラパリブ+アビラテロン」併用療法と「プラセボ+アビラテロン」を比較した第3相試験です。全患者さんに対して、プレドニゾンまたはプレドニゾロンのいずれかが1日2回投与されました。主要評価項目は画像診断に基づく無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間、2回目の病勢進行または死亡までの期間、初回の後治療または死亡までの期間などでした。

 解析の結果、「オラパリブ+アビラテロン」併用療法は、「プラセボ+アビラテロン」と比較して、病勢進行または死亡リスクを34%低下。それぞれの画像診断に基づく無増悪生存期間の中央値は、24.8か月と16.6か月でした。

 英国マンチェスターにあるChristie/Salford Royal Hospitalsおよびマンチェスター大学の泌尿器外科医および泌尿器腫瘍学教授であり、PROpel試験の共同上級治験担当医師であるNoel Clarke医師は、次のように述べました。

  「欧州において、転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんの治療選択肢は限られています。この種の進行性前立腺がんは予後不良であり、初診後の治療決定が極めて重要です。欧州においてリムパーザとアビラテロンの併用療法が転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療薬として承認されれば、多くの転移性去勢抵抗性前立腺がん患者さんにとって、非常にニーズの高い新たな治療選択肢となるでしょう」