HER2陽性の再発・転移性乳がんの3次治療としてエンハーツを評価したDESTINY-Breast02試験の結果をSABCSで発表

2022/12/23

文:がん+編集部

 HER2陽性の再発・転移性乳がん患者さんを対象に、3次治療としてトラスツズマブ デルクステカン(製品名:エンハーツ)を評価したDESTINY-Breast02試験において、病勢進行または死亡リスクが64%低下。その結果が、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で発表されました。

エンハーツ、治験医師選択薬と比較して病勢進行または死亡リスクを64%低下

 第一三共株式会社とアストラゼネカは2022年12月8日、HER2陽性の再発・転移性乳がん患者さんを対象に、3次治療としてトラスツズマブ デルクステカンを評価したDESTINY-Breast02試験の結果をSABCSで報告したことを発表しました。

 DESTINY-Breast02試験は、トラスツズマブ エムタンシン(製品名:カドサイラ)の治療歴のあるHER2陽性の切除不能な転移性乳がん患者さんを対象に、3次治療としてトラスツズマブ デルクステカンと治験医師選択による治療薬を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は全生存期間、奏効率、奏効期間、安全性などでした。

 解析の結果、トラスツズマブ デルクステカンは治験医師選択による治療薬と比較して、病勢進行または死亡リスクを64%低下。無増悪生存期間の中央値は、それぞれ17.8か月と6.9か月でした。また、トラスツズマブ デルクステカンは治験医師選択による治療薬と比較して、死亡リスクを34%低下。全生存期間の中央値は、それぞれ39.2か月と26.5か月でした。

 安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。グレード3以上の有害事象は、トラスツズマブ デルクステカンで41.3%に認められました。主な有害事象は、好中球数減少(10.6%)、貧血(7.9%)、好中球減少症(7.7%)などでした。10.4%の患者さんが、間質性肺疾患と判定されましたが、大部分が低グレードであり、グレード3は3人、グレード4は0人、グレード5(死亡)が2人でした。