トリプルネガティブ乳がんを対象に、ダトポタマブ デルクステカンを評価した第1相試験の最新データをSABCSで発表

2023/01/04

文:がん+編集部

 トリプルネガティブ乳がんを対象に、抗体薬物複合体ダトポタマブ デルクステカン(DS-1062/Dato-DXd)を評価した第1相TROPION-PanTumor01試験の最新データが、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で発表されました。

標準治療後に病勢進行した転移性のトリプルネガティブ乳がん患者さん44人の客観的奏効率は32%

 第一三共株式会社とアストラゼネカは2022年12月12日、ダトポタマブ デルクステカンを評価したTROPION-PanTumor01試験の最新データをSABCSで報告したことを発表しました。

 今回報告された最新データは、ダトポタマブ デルクステカン単剤療法を評価した第1相TROPION-PanTumor01試験のうち、トリプルネガティブ乳がん患者さんを対象に解析したデータです。

 標準治療後に病勢進行した転移性のトリプルネガティブ乳がん患者さん44人の有効性については、客観的奏効率32%、病勢コントロール率80%、無増悪生存期間の中央値4.4か月、全生存期間の中央値13.5か月でした。

 トポイソメラーゼI阻害薬を結合させた抗体薬物複合体による前治療歴のない切除不能なトリプルネガティブ乳がん患者さん27人を対象としたサブグループ解析では、客観的奏効率44%、病勢コントロール率81%、無増悪生存期間の中央値7.3か月、全生存期間の中央値14.3か月でした。

 安全性に関しては、新たな懸念は認められませんでした。グレード3以上の主な有害事象は、口内炎(11%)、リンパ球数減少(7%)、疲労(7%)等でした。本剤と関連のある間質性肺疾患は認められませんでした。

 今後、ステージ1~3のトリプルネガティブ乳がん患者さんを対象に、ダトポタマブ デルクステカン単剤療法および「ダトポタマブ デルクステカン+デュルバルマブ」併用療法の安全性と有効性を評価するグローバル第3相TROPION-Breast03試験が予定されており、最初の患者登録が2022年11月に完了されています。

 両社は、次のように述べています。

 「転移性のトリプルネガティブ乳がん患者さんに新たな治療の選択肢を提供できるよう、広範な臨床開発プログラムを通じて本剤の開発を加速してまいります」