「キイトルーダ+化学療法」、HER2陰性の胃・食道胃接合部腺がんに対するKEYNOTE-859試験で全生存期間を改善

2023/01/10

文:がん+編集部

 HER2陰性の胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんを対象に、「ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)+化学療法」を評価したKEYNOTE-859試験で、全生存期間の改善が認められ主要評価項目が達成されました。

無増悪生存期間および客観的奏効率についても、統計学的に有意で臨床的に意味のある改善を示す

 米メルク社は2022年11月22日、HER2陰性の局所進行性切除不能または転移性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者さんに対する一次治療として、「ペムブロリズマブ+化学療法」併用療法を評価したKEYNOTE-859試験で良好な結果が得られたことを発表しました。

 KEYNOTE-859試験は、HER2陰性の局所進行性切除不能または転移性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの患者さん1,579人を対象に、一次治療として「ペムブロリズマブ+化学療法」と「プラセボ+化学療法」を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は無増悪生存期間、全奏効率、奏効期間、安全性などです。

 解析の結果、主要評価項目である全生存期間の統計学的に有意な改善が認められました。副次評価項目である無増悪生存期間および全奏効率についても統計学的に有意で臨床的に意味のある改善が認められました。

 安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されませんでした。

 同社の研究開発本部のシニア・バイス・プレジデント、グローバル臨床開発責任者、最高メディカル責任者のEliav Barr博士は、次のように述べています。

 「がん治療は進歩していますが、進行性胃腺がんは現在も5年生存率が特に低く、新たな治療法の開発が喫緊に求められています。KEYNOTE-859試験の結果から、PD-L1の発現にかかわらず、HER2陰性の局所進行性切除不能または転移性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの患者さんに対するキイトルーダと化学療法の併用療法により、化学療法単独群より生存期間が延長される可能性が示されました。今回得られた良好な結果は、消化器がん患者さんにキイトルーダによる新たな治療の選択肢を提供することを目指す当社の取り組みを示すものであり、この試験に参加してくださっている全ての患者さん、治験責任医師に感謝します」