イムブルビカ、慢性リンパ性白血病の一次治療としてカルケンスに比べ次治療までの期間が長いことが実臨床研究で判明

2023/01/31

文:がん+編集部

 慢性リンパ性白血病の一次治療において、イブルチニブ(製品名:イムブルビカ)の投与はアカラブルチニブ(製品名:カルケンス)の投与と比べ、次治療開始までの期間が長いことが実臨床研究で明らかになりました。

カルケンス、イムブルビカに比べ次治療を開始する確率が89%高い

 ヤンセン ファーマシューティカル カンパニーズは2022年12月12日、一次治療としてアカラブルチニブ単剤投与を受けた慢性リンパ性白血病の患者さんは、イブルチニブ投与の患者さんと比べ、89%高い割合で次の治療を開始したことを示す実臨床研究の結果を発表しました。

 今回の研究は、匿名化された学術電子カルテを用い、2019年11月21日~2022年4月30日の期間に、イブルチニブまたはアカラブルチニブによる一次治療を開始した患者さんを特定し、病勢進行の臨床上意義のある代替指標として、次治療までの時間(TTNT)が評価されました。TTNTは、起点日から次治療の開始または追加治療の開始までの期間と定義されました。主な結果は、以下の通りです。

 未治療の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者さんにおける一次治療で、アカラブルチニブを投与した患者さんは、イブルチニブを投与した患者さんに比べ、次治療を開始する確率が89%高くなりました。

 また、いずれかのブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬(イブルチニブまたはアカラブルチニブ)治療開始後に、抗CD20抗体療法を追加し打ち切った場合の比較においても、同様の結果が認められました。12か月時点で次治療を開始していない患者さんの割合は、イブルチニブでは95.3%であるのに対し、アカラブルチニブでは91.2%でした。15か月時点で次治療を開始していない患者さんの割合は、イブルチニブで94.6%であるのに対し、アカラブルチニブは88.3%でした。

 これらのデータは、日常診療における一次治療で1日1回の経口剤であるイブルチニブ単剤を投与することで、すぐに次治療を開始することなく、長期間使用できる可能性を示唆しています。

 試験責任医師で、アトリウム・ヘルス・レバインがん研究所、血液腫瘍科、リンパ腫治療・研究部門の臨床部長のRyan Jacobs医師は、次のように述べています。

 「現在、慢性リンパ性白血病の一次治療におけるブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬を比較する試験はないことから、最適な治療の選択をサポートするには、実臨床における経験値の活用が重要です。今回の研究結果は、一次治療におけるイブルチニブとアカラブルチニブの投与における患者さんへのインパクトを示しており、次治療を開始するまでの期間の違いを医療従事者に対し示唆する追加データです」