カルケンス、慢性リンパ性白血病(小リンパ性リンパ腫含む)の適応症で国内承認

2023/02/02

文:がん+編集部

 アカラブルチニブ(製品名:カルケンス)が、慢性リンパ性白血病(小リンパ性リンパ腫含む)の適応症で国内承認されました。

「カルケンス+ガザイバ」、「リューケラン+ガザイバ」と比較して病勢進行または死亡リスクを89%低下

 アストラゼネカは2022年12月28日、アカラブルチニブが、慢性リンパ性白血病(小リンパ性リンパ腫含む)の適応症として厚生労働省から承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、国内第1相試験および、ELEVATE-TN試験の結果に基づくものです。

 ELEVATE-TN試験は、未治療の慢性リンパ性白血病患者さんを対象に、アカラブルチニブ単剤または「アカラブルチニブ+オビヌツズマブ(製品名:ガザイバ)」併用療法と、「クロラムブシル(製品名:リューケラン)+オビヌツズマブ」併用療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は、「アカラブルチニブ+オビヌツズマブ」併用療法と「クロラムブシル+オビヌツズマブ」併用療法の無増悪生存期間の比較、副次的評価項目は、アカラブルチニブ単剤と「クロラムブシル+オビヌツズマブ」併用療法の無増悪生存期間の比較などでした。

 2022年米国臨床腫瘍学会と欧州血液学会年次総会で発表された追跡期間約5年時点(中央値)の最新解析結果において、アカラブルチニブは「クロラムブシル+オビヌツズマブ」併用療法と比較して、統計学的に有意な無増悪生存期間の改善を維持し、安全性および忍容性プロファイルはアカラブルチニブの既知のプロファイルと一貫していることが示されました。また、「アカラブルチニブ+オビヌツズマブ」併用療法は、「クロラムブシル+オビヌツズマブ」併用療法と比較して、病勢進行または死亡のリスクを89%、および単独では79%低下させることが示されました。

 国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院の血液腫瘍科長である伊豆津 宏二医師は、次のように述べています。

 「ELEVATE-TN試験の結果により、治療歴のない慢性リンパ性白血病患者さんに対して、カルケンスが化学免疫療法であるクロラムブシルとオビヌツズマブの併用療法との比較で、無増悪生存期間を有意に向上させたことが確認されました。今回の承認により治療の早い段階でカルケンスを使えるようになったことは、日本の医師と患者さんにとって大きな進歩といえます」