胆道がんの術後補助療法としてS-1を評価したJCOG1202/ASCOT試験で生存期間が有意に延長

2023/02/21

文:がん+編集部

 根治手術を受けた胆道がん患者さんを対象に、補助療法としてS-1を評価したJCOG1202/ASCOT試験で、生存期間の有意な延長が認められました。

根治手術後、第一選択としてS-1補助療法が推奨に

 国立がん研究センターは2023年2月1日、根治手術を受けた胆道がん患者さんを対象に、補助療法としてS-1を評価したJCOG1202/ASCOT試験の結果が、英国学術雑誌「The Lancet」に掲載されたことを発表しました。

 JCOG1202/ASCOT試験は、根治手術を受けた胆道がん患者さん440人を対象に、S-1による術後補助療法と経過観察を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、副次的評価項目は無再発生存期間、有害事象などでした。

 3年後の解析では、3年生存割合はS-1が77.1%、経過観察が67.6%で、S-1補助療法における生存期間の有意な延長が確認されました。S-1の投与によるグレード3~4の有害事象は、好中球減少(14%)、胆道感染(7%)でした。

 同研究所は今後の展望として。次のように述べています。

 「本試験の結果を受け、エビデンスに基づいた治療の提供が可能となり、胆道がんの根治手術後はS-1補助療法を行うことが第一選択として推奨されます。同様の臨床試験は海外でも実施されており、本試験の結果により、日本だけでなく海外のガイドラインでも標準治療に書き換えられ、胆道がん患者さんにさらに有効な治療が提供されることが期待されます。また、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の肝胆膵グループではさらなる治療成績の向上を目指して、現在、ゲムシタビン、シスプラチン、S-1の3剤併用による術前化学療法の有効性を検証するランダム化第3相試験を実施しております」