ニュベクオ、転移性ホルモン感受性の前立腺がん治療薬としてCHMPが承認勧告

2023/02/22

文:がん+編集部

 ダロルタミド(製品名:ニュベクオ)が、転移性ホルモン感受性の前立腺がん治療薬として、欧州医薬品庁ヒト用医薬品委員会(CHMP)から承認勧告されました。

「ニュベクオ+ADT+ドセタキセル」併用療法、「ADT+ドセタキセル」併用療法と比較して死亡リスクを32.5%低減

 バイエル薬品株式会社は2023年1月27日、経口アンドロゲン受容体阻害薬ダロルタミドについて、アンドロゲン遮断療法(ADT)およびドセタキセルの併用療法が、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者さんの治療薬として、CHMPから欧州連合(EU)における製造販売承認の勧告を受けたことを発表しました。今回の承認勧告は、ARASENS試験の結果に基づくものです。

 ARASENS試験は、転移性ホルモン感受性前立腺がん患者さん1.306人を対象とした、「ダロルタミド+ADT+ドセタキセル」併用療法と「ADT+ドセタキセル」併用療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は去勢抵抗性前立腺がんに進行するまでの期間、次の抗がん治療を開始するまでの期間、症候性骨関連事象無発現生存期間、症候性骨関連事象初回発現までの期間、オピオイド初回使用までの期間、疼痛増悪までの期間、身体症状悪化までの期間などでした。

 解析の結果、「ダロルタミド+ADT+ドセタキセル」併用療法は「ADT+ドセタキセル」併用療法と比較して、死亡リスクを32.5%低減しました。また、副次的評価項目の改善は、主要評価項目の全生存期間の延長を補足するものでした。

 ルーヴァン・カトリック大学、サンリュック大学病院泌尿器科のベルトラン・トンバル教授は、次のように述べています。

 「大きな進展はありましたが、多くの転移性ホルモン感受性前立腺がん患者さんにとって疾患進行と消耗性の症状の発現は現在もごく当たり前に起きることです。したがって、死亡率を改善するだけでなく症状進行までの期間を遅らせることのできる治療選択肢に、これらの患者さんがアクセスできるようになることは非常に重要です。ARASENS試験は、全体的な有害事象の発現率をプラセボ群と同様の水準に維持しつつ、死亡リスクの低減と生活の質の低下を最小限に抑えることの両方において、ADTおよびドセタキセルにダロルタミドを加えた併用療法のベネフィットを示した初めての試験です」