胆道がん患者調査、胆道がんの認知度の低さが困りごとを相談する上でのハードルに

2023/02/24

文:がん+編集部

 全国の20歳以上の胆道がん患者さん203人を対象に、診療・治療過程での経験や生活の変化を調べるインターネット調査を実施。胆道がんの認知度の低さが周囲に病気を知らせることや困りごとを相談するハードルになっていることが判明しました。

診断される前の時点で胆道がんについて知らなかった患者さんは全体の80%

 アストラゼネカは2023年2月8日、全国の20歳以上の胆道がん患者さん203人を対象に、診療・治療過程での経験や生活の変化を調べるため、インターネット調査「胆道がん患者調査」(調査期間:2022年11月1日~30日)を実施し、その結果を発表しました。

 調査の結果、診断される前の時点では胆道がんについて知らなかった患者さんは全体の80%を占めており、胆道がんの認知度が極めて低いことが示されました。また、この認知度の低さから、胆道がん患者さんは病気について周囲に知らせることや、治療における困りごとを相談することを難しく感じていたことも明らかとなりました。

 本調査を監修した神奈川県立がんセンター総長である古瀬純司先生は、次のように述べています。

 「今回の調査で、胆道がんの認知度が極めて低く、認知度の低さは胆道がん患者さんが周囲に病気になったことを知らせ、困りごとを相談する上でのハードルになっていることがわかりました。また、初期症状や特有の自覚症状に乏しい胆道がんは、医療機関の受診が遅くなりやすいことも明らかになりました。胆道がんは体力低下が著しく、日常生活への影響が大きい上に、病状急変で予定外の入院を余儀なくされることも多い疾患ですので、患者さんが身の周りのサポートを求めやすい環境づくりにむけて、胆道がんの正しい情報提供と認知向上が極めて重要です。胆道がん患者さんには特に、セカンドオピニオンやがん相談支援センターを活用いただきたいと思っています」

 主な調査結果は、以下の通りです。

身近な人に胆道がんと診断されたことを知らせるにあたってハードルになったこと

 胆道がんと診断されたことを身近な人に知らせるのに、「相手が胆道がんという病気をあまり知らなかった」ことがハードルになったと35%が回答しました。次いで、「胆道がんがどのような疾患か説明するのが難しかった」(28%)、「相手に説明できるほど自分自身が胆道がんについて理解できていなかった」(26%)でした。

困りごとを相談しなかった理由

 胆道がんの治療を進めるにあたり、日常生活で困りごとを感じているにも関わらず、家族や周囲に相談しなかった方が全体の4割近くおられました。相談しなかった理由としてもっとも多かったのが、「誰かに相談しても解決できないと思った」(57%)でした。

胆道がんと診断される前にどのような体調の変化があったか

 胆道がん診断の経緯として多かった回答は、「体調変化を感じて自ら医療機関を受診した」(34%)、「健康診断・人間ドックで異常を指摘されて医療機関を受診」(34%)でした。診断される前の症状としては、黄疸や便の色の変化といった明らかな見た目の変化に加えて、「みぞおちやわき腹の痛み」(36%)、「食欲が落ちた」(34%)、「全身のかゆみ」(19%)といった見過されやすい体調変化を感じていた方が多くいました。また、体調に変化があった患者さんの39%が1カ月以上経ってから医療機関を受診しており、受診までに時間がかかった理由としては「重大な病気だと思わなかった」が最も多い理由でした。

セカンドオピニオンの受診状況とその満足度

 セカンドオピニオンを「知っている」と回答している患者さんは81%であるのに対し、実際にセカンドオピニオンを受けた患者さんは42%にとどまりました。セカンドオピニオンを受けなかった理由については「主治医に満足していた」が50%ともっとも多く、患者さんの一部は「治療開始が遅れる(病気が進行する)ことを避けたかった」(21%)、「主治医に言いにくかった」(12%)「セカンドオピニオンを受けられる施設が見つからなかった」(7%)と回答しました。また、セカンドオピニオンを受けた患者さんの75%が受けて良かったと回答しました。

胆道がんの治療による日常生活への影響

 胆道がんの治療中・治療後に日常生活で影響を受けたこととして、47%が「体力の低下」と回答しました。次いで多かったものは「通院の負担」(40%)、「がんの摘出手術やその後の経過」(39%)、「予定外の入院」(39%)でした。