非小細胞肺がんに対する術前補助療法として「オプジーボ+化学療法」を評価したCheckMate-816試験、追跡調査の結果を発表

2023/04/21

文:がん+編集部

 切除可能な非小細胞肺がんに対する術前補助療法として、「ニボルマブ(製品名:オプジーボ)+化学療法」を評価したCheckMate-816試験の追跡調査の結果が発表され、長期的かつ持続的な有効性が認められました。

「オプジーボ+化学療法」による術前補助療法、化学療法と比較して長期的かつ持続的な有効性を示す

 小野薬品工業株式会社とブリストル マイヤーズ スクイブ社は2023年3月30日、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者の術前補助療法として、「ニボルマブ+化学療法(プラチナ製剤を含む)」併用療法の3回投与を評価したCheckMate-816試験の追跡調査の結果を発表しました。

 CheckMate-816試験は、PD-L1発現レベルにかかわらず、切除可能なステージ1B~3Aの非小細胞肺がん患者さん358人を対象に、術前補助療法として「ニボルマブ+化学療法」併用療法と化学療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は無イベント生存期間、病理学的完全奏効、副次評価項目は全生存期間、Major Pathological Response(MPR)、死亡または遠隔転移までの期間(TTDM)などでした。

 3年間の追跡調査の結果、「ニボルマブ+化学療法」併用療法は化学療法と比較して、再発、病勢進行または死亡リスクを32%低下させ、持続的な有効性が認められました。3年間の無イベント生存率は、それぞれ57%と43%でした。

 また、TTDMについても、「ニボルマブ+化学療法」併用療法は化学療法と比較して、引き続き良好な結果を示し、3年間のTTDM率はそれぞれ71%と50%でした。

 今回の解析では、全生存期間のデータは未完成であったものの、「ニボルマブ+化学療法」併用療法による術前補助療法は、化学療法と比較して、引き続き良好な改善傾向が認められました。3年時点での生存率は、それぞれ78%と64%でした。

 CheckMate-816試験の治験担当医師であり、Thorax Institute Curie-Montsouris教授兼部門長であるNicolas Girard医学博士は、次のように述べています。

 「CheckMate-816試験の今回の最新の結果は非常に重要なものであり、ニボルマブと化学療法の併用療法の術前投与が3年間にわたり持続的な有効性をもたらすことを示し、再発率が高く、手術のみでは治癒できない非小細胞肺がんの大多数の患者さんに希望を与えるものです。免疫療法薬による併用療法の術前補助療法で最初の肯定的な第3相試験として、CheckMate-816試験の結果は、切除可能な非小細胞肺がんを研究する科学界にこれまでも貴重な知見を与えてきました。今回、この併用療法がさまざまなタイプの患者さんの再発や病勢進行の予防に役立つことを示すとともに、全生存期間の良好な延長傾向も示された長期間のデータにより、このレジメンは非転移性非小細胞肺がんの治療法を変えようとしています」