非小細胞肺がんを対象に「オプジーボ+ヤーボイ」併用療法を評価したJCOG2007試験が中止

2023/05/18

文:がん+編集部

 非小細胞肺がんを対象に、「ニボルマブ(製品名:オプジーボ)+イピリムマブ(製品名:ヤーボイ)」併用療法を評価したJCOG2007試験が中止されました。

治療との因果関係を否定できない死亡が予期した範囲を超えて認められた

 国立がん研究センターは2023年4月28日、「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法を行った患者さんで、治療との因果関係を否定できない死亡が予期された範囲を超えて認められたため、JCOG2007試験を中止したことを発表しました。

 JCOG2007試験は、未治療の進行・再発非小細胞肺がん患者さん295人を対象に、「化学療法+ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ」併用療法(A群)と「化学療法+ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法(B群)を比較した第3相試験です。

 JCOG2007試験は2021年4月に開始されましたが、「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法を行った患者さんで予期していた範囲(5%)を超える約7.4%(148人のうち11人)の治療関連死亡が認められたため、患者さんの安全性を担保して2023年3月30日に中止されました。

 治療関連死亡に至った患者さん11人の有害事象は、肺臓炎(4人)、サイトカイン放出症候群(3人)、敗血症(1人)、心筋炎(2人)、血球貪食症候群(1人)でした。

 同研究センターは今後の治療方針および注意事項として、次のように述べています。

 「B群(化学療法+ニボルマブ+イピリムマブ療法)で治療関連死亡が予想を超えて多く発生した原因は現時点ではわかっていませんが、イピリムマブの影響が強い可能性が考えられましたので、本試験でB群の治療を継続中の患者さんにはイピリムマブを中止してニボルマブのみを継続することをお奨めしております。ただし、これまでの一人一人の患者さんにおける治療の効果や副作用を勘案した慎重な判断が必要なため、それらを熟知している担当医と患者さんの間でよく相談して治療を行っていただくよう周知しているところです。現在、本試験以外でニボルマブ+イピリムマブ併用療法を受けている未治療進行・再発非小細胞肺がんの患者さんにおいても、自己判断で治療を中断せず、必ず主治医と相談してください。」