小児とAYA世代T-ALLを対象とする小児型治療を評価したALL-T11試験、結果がLancet Haematologyに掲載

2023/05/24

文:がん+編集部

 小児と24歳未満のAYA世代のT細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)患者さんを対象に、ネララビン、L-アスパラギナーゼを用いて強化した小児型治療を評価したALLT11試験の結果が、Lancet Haematologyに掲載されました。

T-ALLに対する治療成績が従来の日本における約70%程度から86.4%まで改善

 北海道大学病院は2023年5月10日、T-ALLに対するALL-T11試験の結果が、Lancet Haematologyにオンライン掲載されたことを発表しました。

 ALL-T11試験は、0歳から24歳未満のT-ALL患者さん349人を対象に、ベルリン・フランクフルト・ミュンスター(BFM)方式の小児型治療において、ネララビンの投与、L-アスパラギナーゼの集中投与による強化、長期間の髄腔内治療導入により、副作用の強い頭蓋放射線照射と同種造血幹細胞移植の実施率を低下させ、晩期合併症の低減および予後の改善を図ることを目的に実施されました。

 試験の結果、本試験で採用された治療法により、T-ALLに対する治療成績(3年の無イベント生存率)が従来の日本における約70%程度から86.4%まで改善されました。また、放射線治療や造血幹細胞移植治療を受ける患者さんの割合を減らすことに成功しました。

 同大学病院は今後の展望として、次のように述べています。

 「現在、ALL-T11臨床試験の後継試験であるALL-T19臨床試験が実施されています。このALL-T19臨床試験では、ALL-T11臨床試験の治療戦略を用いつつ、さらに年齢層を広げて0歳から64歳までの患者に対して各年齢層に適切な強度の治療を提供する工夫が施されており、全年齢層における標準治療につながることが期待されています」