フルキンチニブ、治療歴がある転移性大腸がんに対する治療薬としてFDAが優先審査指定

2023/06/14

文:がん+編集部

 治療歴のある転移性大腸がんに対する治療薬フルキンチニブが、米国食品医薬品局(FDA)から優先審査指定されました。

フルキンチニブ、VEGFR1/2/3に対する高い選択性を有する血管新生阻害薬

 武田薬品工業株式会社とHUTCHMED社は2023年5月25日、治療歴がある転移性大腸がんの成人患者さんの治療薬として、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3に高い選択性を有する阻害薬であるフルキンチニブをFDAに新薬承認申請を行い、優先審査指定されたことを発表しました。今回の承認申請は、中国で実施されたFRESCO試験からのデータとともに、FRESCO-2試験から得られた結果に基づくものです。

 FRESCO-2試験は、治療歴のある転移性大腸がんで、標準化学療法および関連する生物学的製剤の投与後に進行、もしくはTAS-102および/またはレゴラフェニブの投与後に進行または不耐を示した患者さん691人を対象に、「フルキンチニブ+ベストサポーティブケア(BSC)と「プラセボ+BSC」を比較した第3相試験です。主要評価項目は全生存期間、重要な副次評価項目は無増悪生存期間でした。

 解析の結果、主要評価項目である全生存期間の改善を達成。加えて、重要な副次評価項目である無増悪生存期間でも統計的に有意な改善を達成しました。これまでのところ、フルキンチニブの患者さんにおける忍容性は概ね良好です。

 フルキンチニブは、VEGFR1/2/3に対する高い選択性を有する強力な経口阻害薬です。VEGFR阻害薬は腫瘍血管新生の遮断において極めて重要な役割を果たします。フルキンチニブは、標的外毒性を最小限に抑え、忍容性を改善し、より一貫した標的範囲を提供することを意図して、キナーゼ選択性を向上させるように設計されています。

 武田薬品のグローバルメディカルアフェアーズオンコロジーのヘッドであるAwny Farajallah医師は、次のように述べています。

 「フルキンチニブは、その強力な臨床プロファイルで示されているように、治療歴を有する転移性大腸がん患者さんの治療体系を大きく変化させる可能性があると確信しています。米国において、非常に大きな患者さんのニーズが存在し、私たちは、患者さんのバイオマーカーのステータスにかかわらず、フルキンチニブがニーズを充足する可能性があると信じています。この治療法を可能な限り早く患者さんにお届けすることを目標に、FDAとの協議継続に期待を寄せています」

 また、HUTCHMED社のR&Dヘッド兼チーフ メディカル オフィサーであるMichael Shi医師は、次のように述べています。

 「フルキンチニブの臨床上のベネフィットは、国際臨床試験から中国での上市まで、さまざまな方法で確認されています。中国以外の世界におけるフルキンチニブの開発および商業化を促進するためのパートナーとして武田薬品と提携できることを嬉しく思います。今回の新薬承認申請の受理は、現在治療の選択肢が限られている治療歴を有する転移性大腸がんの患者さんへ、切望されている治療選択肢をお届けするという目標に向けた、大きな前進となります。また、世界中のアンメットニーズの高い患者さんを救う、差別化された分子を設計し、開発するという、私たちが追及するビジョンにもつながります」