「ビラフトビ+メクトビ」、BRAF遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺がんに対する効能・効果で国内申請

2023/06/16

文:がん+編集部

 BRAF遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺がんに対する効能・効果について、「エンコラフェニブ(製品名:ビラフトビ)+ビニメチニブ(製品名:メクトビ)」併用療法が国内申請されました。

ビラフトビとメクトビ、それぞれBRAFとMEKを阻害する分子標的薬

 小野薬品工業は2023年5月31日、「エンコラフェニブ+ビニメチニブ」併用療法によるBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺がんに対する効能または効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったことを発表しました。今回の承認申請は、ONO-7702/7703-03試験の結果に基づくものです。

 ONO-7702/7703-03試験は、BRAFV600遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺がんを対象に、「エンコラフェニブ+ビニメチニブ」併用療法の有効性と安全性を評価した第2相試験です。エンコラフェニブを1日1回(1回450mg)、およびビニメチニブを1日2回(1回45mg)、疾患の進行または安全性などの理由により投与できないと判断されるまで投与されました。主要評価項目は画像中央判定機関による奏効率、副次評価項目は実施医療機関の評価による奏効率、病勢制御率、全生存期間、無増悪生存期間などでした。

 BRAFおよびMEKは、細胞の増殖、分化、生存、血管新生などの重要な細胞活性を調節するMAPKシグナル伝達経路(RAS-RAF-MEK-ERK)で働く重要な酵素です。これまでに、悪性黒色腫、結腸・直腸がん、甲状腺がんを含む多くのがんにおいて、このMAPKシグナル伝達経路で働くタンパク質の不適切な活性化が報告されています。エンコラフェニブは、この経路のうちBRAFを阻害、ビニメチニブは、MEKを阻害する分子標的薬です。