「カピバセルチブ+フェソロデックス」、HR陽性進行乳がんの治療薬としてFDAが優先審査指定

2023/07/06

文:がん+編集部

 「カピバセルチブ+フルベストラント(製品名:フェソロデックス)」併用療法が、HR陽性進行乳がんの治療薬として米国食品医薬品局(FDA)から優先審査指定を受けました。

「カピバセルチブ+フェソロデックス」、「プラセボ+フェソロデックス」と比較して病勢進行または死亡リスクを40%低下

 アストラゼネカ社は2023年6月12日、「カピバセルチブ+フルベストラント」併用療法についての新薬承認申請が米国で受理され、優先審査指定を取得したことを発表しました。今回の申請は、CAPItello-291試験の結果に基づくものです。

 CAPItello-291試験は、局所進行性(手術不能)または転移性HR陽性、HER2低発現または陰性の乳がん患者さん708人を対象に、「カピバセルチブ+フルベストラント」と「プラセボ+フルベストラント」を比較した第3相試験です。主要評価項目は、全患者さんに対する無増悪生存期間、AKT経路のバイオマーカー遺伝子(PIK3CA、AKT1、PTEN)に変異を認める患者さんに対する無増悪生存期間でした。

 全患者さんに対する解析の結果、「カピバセルチブ+フェソロデックス」併用療法は「プラセボ+フェソロデックス」と比較して、病勢進行または死亡リスクを40%低下させました。無増悪生存期間の中央値は、それぞれ7.2か月と3.6か月でした。

 同社のオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるSusan Galbraith氏は、次のように述べています。

 「今回の優先審査指定の取得は、現在広く使用されている治療法に対して病勢進行または耐性となったHR陽性乳がん患者さんに対しても、カピバセルチブが内分泌治療の有効性を拡大する可能性を裏付けています。FDAと協力して、このファーストインクラスとなり得るAKT阻害薬をできるだけ早く患者さんにお届けできること期待しています」