KRAS遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんを対象に「ルマケラス+化学療法」を評価したSCARLET試験の結果を発表

2023/07/07

文:がん+編集部

 KRAS遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんを対象に、「ソトラシブ(製品名:ルマケラス)+カルボプラチン+ペメトレキセド」併用療法を評価した医師主導SCARLET試験の結果を発表。約90%の患者さんで、腫瘍が半分程度に縮小しました。

「ルマケラス+カルボプラチン+ペメトレキセド」併用療法、奏効率88.9%と良好な結果

 和歌山県立医科大学は2023年6月22日、KRAS遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんを対象に、「ソトラシブ+カルボプラチン+ペメトレキセド」併用療法を評価した医師主導SCARLET試験の結果を発表しました。

 SCARLET試験は、KRAS G12C変異陽性かつ化学療法未治療の進行再発非扁平上皮・非小細胞肺がんを対象に、「ソトラシブ+カルボプラチン+ペメトレキセド」併用療法を評価した医師主導による第2相試験です。主要評価項目は奏効率(中央判定)、主な副次的評価項目は奏効率(担当医判定)、奏効期間、奏効までの期間、病勢コントロール率、無増悪生存期間、治療成功期間、全生存期間、安全性などでした。

 解析の結果、主要評価項目である奏効率(腫瘍の大きさが50%以上減少した患者さんの割合)は88.9%と良好な結果でした。また、探索的な解析として、患者さんの末梢血を治療前後で採取し、次世代シーケンサーという機械を用いて血中のがん由来DNAに含まれる数百の遺伝子変異を網羅的に解析したところ、本研究では治療開始時点で約70%の患者さんでKRAS G12C変異が陽性でしたが、治療開始3週後には、約半数の患者さんでKRAS G12C変異が血中からは消失していました。このような血中のKRAS遺伝子変異が消失した患者さんは、そうでない患者さんに比べて奏効率が低いことが示唆され、血液を用いて治療効果を推定する方法につながる可能性が示されました。

 有害事象については、想定された範囲内での血液毒性や消化器毒性にとどまり、おおむね認容可能でした。

 同大学は社会的意義・今後の予定として、次のように述べています。

 「本研究の結果は、がん領域における最大の国際学会である米国臨床腫瘍学会において、非小細胞肺がん領域で特に注目すべき演題としてoral presentationに選ばれ、報告されました。本治験の結果をもとに、今後検証的な大規模臨床試験が検討される可能性があります」