類上皮肉腫を対象にEZH2阻害薬「タゼメトスタット」を評価する医師主導のTAZETTA試験が開始
2023/07/10
文:がん+編集部
類上皮肉腫を対象に、EZH2阻害薬「タゼメトスタット」を評価する医師主導のTAZETTA試験が開始されました。
タゼメトスタット、EZH2を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する分子標的薬
国立がん研究センターは2023年6月22日、局所進行・再発類上皮肉腫患者を対象に、タゼメトスタットを評価するTAZETTA試験を開始することを発表しました。
TAZETTA試験は、日本人の局所進行・再発類上皮肉腫患者さんを対象に、タゼメトスタットの有効性および安全性を評する医師主導の第2相試験です。主要評価項目は無増悪生存損割合(中央判定)、主な副次的評価項目は、18週時点の無増悪生存割合(施設判定)、無増悪生存期間、全生存期間、奏効割合(中央判定)、奏効割合(施設判定)、病勢制御割合、奏効期間、奏効するまでの期間、有害事象発現割合、有害反応発現割合、重篤な有害事象発現割合、重篤な有害反応発現割合などです。
本試験は希少がんの研究開発・ゲノム医療を産学共同で推進する「MASTER KEYプロジェクト」の枠組みを用いて行われ、超希少がんでも治療開発モデルの構築を目指します。
タゼメトスタットは、EZH2阻害薬という分子標的薬の一つです。類上皮肉腫の患者さんの 90%以上で、SMARCB1という遺伝子が働いていないことがわかっています。SMARCB1遺伝子はINI1タンパク質の生成に関わっており、INI1タンパク質がないことによって、EZH2という酵素が過剰に活性を起こし、異常な細胞増殖を引き起こすことがわかっています。EZH2を阻害することで、類上皮肉腫の進行を抑制することが期待されています。