希少がんを対象とした2つの医師主導治験を国がん中央病院がオンラインで開始

2023/07/20

文:がん+編集部

 希少がんに対するオンライン治験が開始されました。遠隔地の患者さんでも、近隣の医療機関を通じて、国立がん研究センター中央病院が実施する医師主導治験に参加することができます。

遠隔地の患者さんでも、近隣の医療機関を通じて中央病院が実施する医師主導治験に参加可能

 国立がん研究センターは2023年6月27日、これまで治験への参加が難しかった遠隔地在住の患者さんでも、近隣の医療機関を通じてオンラインで参加できる、希少がんを対象とした2つの医師主導治験を開始したことを発表しました。

 同研究センター中央病院は、希少がんに対する産学共同の治療開発プラットフォームであるMASTER KEYプロジェクトで実施されている2つの医師主導治験において、全国の患者さんが地域に居ながらにして中央病院が実施する治験へ参加することを可能とするオンライン診療などの体制を構築。従来、同研究センター中央病院で実施する治験へ参加するためには、決められたスケジュールで東京都の同病院へ毎回来院する必要がありましたが、今回のオンライン治験では一度も東京都まで来ることなく、治験へ参加することが可能になります。

 オンライン治験へ参加するためには、近隣のパートナーとなる医療機関(パートナー病院)へ受診し、治験へ参加する条件を満たしているかを調べるための検査を受けます。条件を満たした場合、パートナー病院と中央病院をオンラインでつなぎ、パートナー病院の主治医同席のもと、中央病院の医師から患者さんに治験に関する説明が行われ、治験参加への同意を得ます。治験薬(経口薬)は、中央病院から患者さんの自宅へ直接郵送され、患者さんには中央病院の医師の指示のもとで内服を行います。治験期間中の決められた検査は、パートナー病院で受け、検査結果はパートナー病院から中央病院に共有されます。こうした仕組みによって、患者さんは一度も中央病院へ来院することなく、治験へ参加することが可能となります。

 パートナー病院は、がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院・連携病院のいずれかである必要があり、中央病院とパートナー病院との間で、あらかじめ、あるいは患者さんから申し出があった時点で施設間契約が締結されます。現在のパートナー病院は、国立病院機構四国がんセンターと島根大学医学部附属病院の2施設ですが、今後パートナー病院を全国に拡大し、希少がんオンライン治験ネットワークを整備していく予定です。

 今回、オンライン治験の対象となる医師主導治験の1つは、「 局所進行・再発類上皮肉腫に対するタゼメトスタットの第II相医師主導治験(NCCH2107/MK012)」です。

 同研究センターはオンライン治験の意義と将来の展望として、次のように述べています。

 「地方在住の患者さんの治験アクセスが劇的に改善し、居住地を問わず中央病院で実施している治験への参加が可能になります。中央病院にとっても全国の患者さんが治験参加可能となれば、治験完了に必要な患者数を早期に集めることができます。予定より早期に治験が終了することや、モニタリングをリモートで行う体制を同時に構築することで、治験にかかるコストを削減することができます。今回、オンライン治験を開始するのは、希少がんに対する2つの医師主導治験ですが、今後はMASTER KEYプロジェクトで実施される医師主導治験・企業治験にも積極的にオンライン治験の導入を進めていきます。また、希少がん以外への拡大や、患者さんの来院とオンライン診療を組み合わせたハイブリッド型のオンライン治験の実施など、患者さんのニーズや研究の特徴にあわせ、治験へのアクセスを改善する取り組みを進めていきます。また、日本だけでなくアジア全体においても効率的な治験実施体制の構築を行っていきます」