HER2陽性の進行胃がんを対象にキイトルーダ併用療法を評価したKEYNOTE-811試験の結果を発表
2023/08/02
文:がん+編集部
HER2陽性の進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんを対象に、一次治療として「ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)+トラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)+化学療法」併用療法を評価したKEYNOTE-811試験の結果を発表。主要評価項目の無増悪生存期間の延長が認められました。
キイトルーダ併用療法、統計学的有意に無増悪生存期間を改善
米メルク社は2023年6月16日、KEYNOTE-811試験の結果を公表。2つの主要評価項目のうち無増悪生存期間の延長を達成したことを発表しました。
KEYNOTE-811試験は、HER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者さん732人を対象に、一次治療として「ペムブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法」併用療法と「プラセボ+トラスツズマブ+化学療法」併用療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間と全生存期間、副次評価項目は客観的奏効率、奏効期間、安全性などでした。
事前に規定された中間解析の結果、「ペムブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法」併用療法は「プラセボ+トラスツズマブ+化学療法」併用療法と比較して統計学的に有意な無増悪生存期間の改善が認められました。試験に参加した患者さんの80%以上がPD-L1陽性で、無増悪生存期間の改善が認められたのは、PD-L1陽性の患者さんだけでした。
もう一つの主要評価項目である全生存期間の解析では、「ペムブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法」併用療法は「プラセボ+トラスツズマブ+化学療法」併用療法と比較して改善傾向が認められましたが、事前に規定した統計学的有意性の基準を満たしませんでした。
安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫していました。
同社の研究開発本部クリニカルリサーチバイスプレジデントのScot Ebbinghaus博士は、次のように述べています。
「KEYNOTE-811試験で無増悪生存期間の有意な改善のデータが新たに得られたことは有意義です。そして、米国において迅速承認されたHER2陽性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの患者さんに対するキイトルーダの本併用療法の試験結果に、新たなデータが加わりました。キイトルーダによるレジメンを適切な患者さんに提供していくため、この結果を腫瘍関連学会や規制当局に提供していきます。また、現在のキイトルーダの適応をPD-L1陽性の患者さんを対象として改訂するべく、FDAと協力しています」