エンハーツ、HER2遺伝子変異がある非小細胞肺がんに対する効能・効果で国内承認
2023/09/15
文:がん+編集部
HER2遺伝子変異がある非小細胞肺がんに対する効能・効果について、トラスツズマブ デルクステカン(製品名:エンハーツ)が国内承認されました。
HER2遺伝子変異がある非小細胞肺がん対象に承認された、日本初の抗HER2療法
第一三共株式会社は2023年8月23日、トラスツズマブ デルクステカンが「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の効能または効果について、国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを発表しました。今回の承認は、DESTINY-Lung02試験の結果に基づくものです。
DESTINY-Lung02試験は、HER2遺伝子変異がある切除不能・転移性非小細胞肺がん患者さんを対象に、トラスツズマブ デルクステカン5.4mg/kgと6.4mg/kgの投与量(5.4mg/kg投与:52人、6.4mg/kg投与:28人)での安全性および有効性を評価した第2相臨床試験です。主要評価項目は盲検下独立中央判定委員会の判定による客観的奏効率、主な副次的評価項目は治験責任医師の判定による客観的奏効率、奏効期間、病勢コントロール率、無増悪生存期間、全生存期間、有害事象の割合などでした。
事前規定された中間解析において、主要評価項目である客観的奏効率は5.4mg/kgが53.8%(完全奏効は1人、部分奏効は27人)、6.4mg/kgが42.9%(完全奏効は1人、部分奏効は11人)でした。安全性に関しては、新たな安全性シグナルは認められませんでした。
同社は、次のように述べています。
「本適応は、グローバル第2相臨床試験(DESTINY-Lung02)の結果に基づき、2022年12月に日本における製造販売承認事項一部変更承認申請を行い、優先審査のもとで承認されました。また、本剤は、HER2遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌がんを対象として希少疾病用医薬品指定を受けております。本剤は、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がん患者さんを対象に承認された、日本で初めての抗HER2療法です。また、日本で承認を受けた適応がん種は、乳がん、胃がんに続いて3つ目となります。当社は、HER2遺伝子変異を有する非小細胞肺がんにおける新たな治療の選択肢を提供することで、日本のより多くのがん患者さんに貢献してまいります」