イクスタンジ、BCRのリスクが高い非転移性CS前立腺がんに対する治療薬としてFDAが優先審査指定

2023/09/20

文:がん+編集部

 生化学的再発(BCR)のリスクが高い非転移性の去勢感受性(CS、もしくはホルモン感受性:HS)前立腺がんに対する治療薬として、エンザルタミド(製品名:イクスタンジ)が、米国食品医薬品局(FDA)から優先審査指定されました。

プラセボと比較して病勢進行または死亡リスクを58%低減した、EMBARK試験の結果に基づく優先審査指定

 アステラス製薬株式会社は2023年8月24日、エンザルタミドが、BCRのリスクが高い非転移性CS(もしくはHS)前立腺がんに対する治療薬としてFDAから優先審査指定されたことを発表しました。今回の優先審査指定は、EMBARK試験の結果に基づくものです。

 EMBARK試験は、BCRのリスクが高い非転移性CS前立腺がん患者さん1,068人を対象に、「エンザルタミド+リュープロレリン」併用療法、エンザルタミド単独療法と「プラセボ+リュープロレリン」を比較した第3相試験です。主要評価項目は無転移生存期間、主な副次的評価項目は全生存期間、去勢抵抗性までの期間、安全性などでした。

 解析の結果、「エンザルタミド+リュープロレリン」併用療法は「プラセボ+リュープロレリン」と比較して病勢進行または死亡リスクを58%低減し、統計学的に有意な改善が認められました。

 安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一致しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。最も多く見られた有害事象は、「エンザルタミド+リュープロレリン」併用療法では、疲労、ほてり、関節痛、エンザルタミド単剤療法では疲労、女性化乳房、関節痛でした。

 同社は、次のように述べています。

 「承認された場合、イクスタンジはBCRのリスクが高い非転移性CS前立腺がんで承認される最初の新規ホルモン療法となる可能性があります。また、2023年以降のイクスタンジの追加適応の承認申請に向け、EMBARK試験の結果について世界中の規制当局と協議中です。アステラス製薬は、新たな治療選択肢を提供することでアンメットメディカルニーズの高い前立腺がん治療に一層の貢献をしていきます」