前治療歴のある進行腎細胞がんを対象にWELIREGを評価したLITESPARK-005試験の結果を発表

2023/10/05

文:がん+編集部

 前治療歴のある進行腎細胞がんを対象に、belzutifan(製品名:WELIREG)を評価したLITESPARK-005試験の結果を発表。belzutifanはエベロリムス(製品名:アフィニトール)と比較して有意な無増悪生存期間の延長が認められました。

WELIREG、アフィニトールと比較して統計学的に有意な無増悪生存期間の延長を示す

 米メルク社は2023年8月18日、経口低酸素誘導因子2アルファ(HIF-2α)阻害薬belzutifanを評価したLITESPARK-005試験の最新結果を発表しました。

 LITESPARK-005試験は、PD-1/L1およびVEGF-TKIによる治療(順次または同時)後に進行した腎細胞がん患者さん746人を対象に、belzutifanとエベロリムスを比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、副次的評価項目は客観的奏効率、奏効期間、安全性、忍容性などでした。

 中間解析の結果、belzutifanはエベロリムスと比較して、無増悪生存期間の統計学的に有意かつ臨床的に意味のある延長が認められました。また、客観的奏効率でも、統計学的有意差が認められました。もう一つの主要評価項目である全生存期間においても改善傾向が認められましたが、統計学的に有意ではありませんでした。安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫していました。

 同社の研究開発本部のグローバル臨床開発部門進行がん担当責任者シニアバイスプレジデントのMarjorie Green博士は、次のように述べています。

 「進行腎細胞がんは生存率が低く、PD-1/L1とVEGF-TKIによる治療後に進行した患者さんに対する治療として、疾患進行または死亡のリスクを低減するための新たな選択肢が求められています。本試験は、PD-1/L1とVEGF-TKIによる治療後に進行した腎細胞がんに対する良好な結果を示した最初の第3相試験であり、ここ数年において、WELIREGは進行腎細胞がんに対する効果が期待できる新たな作用機序を有する薬剤です。この結果を規制当局と協議していきたいと考えています」