転移性非小細胞肺がんの1次治療としてオプジーボ併用療法を評価したCheckMate-227試験、6年間の追跡データ発表

2023/10/18

文:がん+編集部

 転移性非小細胞肺がんの1次治療として、ニボルマブ(製品名:オプジーボ)併用療法を評価したCheckMate-227試験における、6年間の追跡調査の結果を発表。「オプジーボ+イピリムマブ(製品名:ヤーボイ)」併用療法の持続的な生存ベネフィットが認められました。

「オプジーボ+ヤーボイ」併用療法、PD-L1発現レベルにかかわらず6年時点で一貫した持続的な生存ベネフィットを示す

 ブリストル マイヤーズ スクイブ社は2023年9月11日、CheckMate-227試験のパート1の6年間の追跡データを発表しました。

 CheckMate-227試験は、非扁平上皮および扁平上皮がんの組織型に関わらず、転移性非小細胞肺がんの1次治療として、ニボルマブ単剤療法、「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法、「ニボルマブ+化学療法」併用療法とプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法を比較した複数のパートで構成された第3相試験です。

 パート1では、「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法と化学療法との比較について、2つの主要評価項目を設定。1つは、PD-L1発現患者さんに対する全生存期間、もう1つは、PD-L1発現の有無に関わらず、腫瘍遺伝子変異量(TMB)が10変異/メガベース(mut/mb)以上の患者さんに対する無増悪生存期間でした。

 解析の結果、PD-L1発現レベルが1%以上の患者さんに対する6年の全生存率は、「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法22%、化学療法13%であり、併用療法は死亡リスクを22%低下させました。また、PD-L1発現レベルが1%未満の患者さんに対する6年の全生存率は、「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法16%、化学療法5%であり、併用療法は死亡リスクを35%低下させました。

 治療に効果が見られた患者さんのうち、腫瘍量が80%以上減少した割合は、PD-L1発現レベルが1%以上の患者さんでは「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法15%、化学療法3%で、PD-L1発現レベルが1%未満の患者さんでは、「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法8%、化学療法1%でした。

 腫瘍量が80%以上減少した患者さんの6年全生存率は、PD-L1発現レベルが1%以上では「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法59%、化学療法42%でした。PD-L1発現レベルが1%未満では、「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法77%、化学療法0%でした。

 「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法の安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫しており、確立されたプロトコルによって管理可能で、新たな安全性シグナルは認められませんでした。

 スイス、ローザンヌにあるLausanne大学病院の腫瘍科の教授であり腫瘍内科および胸部悪性腫瘍プログラムの委員長であるSolange Peters医学博士は、次のように述べています。

 「免疫療法は進行肺がんの治療を変革しており、幸いなことに診断は多くの患者さんにとって以前と同じ意味を持つものではなくなりました。この6年間の結果により、オプジーボとヤーボイの併用療法により、前年と比較して、顕著に長期の持続的な臨床生存ベネフィットを示しています。CheckMate-227試験 における免疫療法薬2剤のレジメンで長期の有効性が認められたことは、オプジーボとヤーボイの併用療法が転移性非小細胞肺がんの適格な患者さんの予後を変えるという重要性を裏付けています」