転移性非小細胞肺がんを対象にsacituzumab govitecan-hziy併用療法を評価したEVOKE-02試験の結果を発表
2023/11/01
文:がん+編集部
治療選択に重要な遺伝子変異のない進行性または転移性非小細胞肺がんを対象に、一次治療としてsacituzumab govitecan-hziyとペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の併用療法を評価したEVOKE-02試験の結果を発表。有望な臨床活性が認められました。
「sacituzumab govitecan-hziy+キイトルーダ」、転移性非小細胞肺がんに対する一次治療として有望な臨床活性を示す
ギリアド・サイエンシズは2023年9月10日、EVOKE-02試験の結果を発表しました。
EVOKE-02試験は、進行性または転移性の、治療選択に重要な遺伝子変異を伴わない非小細胞肺がん患者さんを対象に、「sacituzumab govitecan-hziy+ペムブロリズマブ+化学療法」、「sacituzumab govitecan-hziy+ペムブロリズマブ」を評価した複数のパートで構成された第2相試験です。各パートは以下の通りです。
- パートA:PD-L1発現レベルが50%以上の扁平上皮/非扁平上皮非小細胞肺がん患者さん
- パートB:PD-L1発現レベルが50%未満の扁平上皮/非扁平上皮非小細胞肺がん患者さん
- パートC:非扁平上皮非小細胞肺がん患者さん(PD-L1発現レベルは問わない)
- パートD:扁平上皮非小細胞肺がん患者さん(PD-L1発現レベルは問わない)
パートAとBの患者さんに対しては、「sacituzumab govitecan-hziy+ペムブロリズマブ」、パートCとDの患者さんに対しては、「sacituzumab govitecan-hziy+ペムブロリズマブ+化学療法」による治療が行われました。
主要評価項目は客観的奏効率、用量制限毒性の発現率、副次的評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、病勢コントロール率、奏効持続期間などでした。
中間解析の結果、パートAでは確定および未確定を含む客観的奏効率69%、病勢コントロール率86%でした。パートBでは、確定および未確定を含む客観的奏効率44%、病勢コントロール率78%でした。両パート全体では、客観的奏効率56%、病勢コントロール率82%でした。今回の解析時点では奏効持続期間の中央値に到達していませんでしたが、6か月の奏効持続期間の割合は両パートともに88%でした。
安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一貫していました。最も多くみられた治療中に発生した有害事象は、下痢(54%)、貧血(48%)、無力症(38%)でした。有害事象による中止率は18%、敗血症による治療関連死が1人の患者さんで認められました。
延世大学校医科大学延世がんセンター内科的腫瘍学部門のByoung Chul Cho教授は、次のように述べています。
「転移性非小細胞肺がん患者さんは、継続的に新たな治療選択肢を必要としています。EVOKE-02試験で得られたデータは、転移性非小細胞肺がん患者さんの一次治療におけるsacituzumab govitecanとペムブロリズマブとの併用による臨床上の意義に対して自信を与えてくれるものです。両剤併用治療を受けた患者さんが良好な客観的奏効率や奏効持続期間を示したことは、同条件下での抗PD-1抗体薬による単剤療法に対する過去の結果と比較すると有望です。これらのデータは、転移性非小細胞肺がんの一次治療における免疫チェックポイント阻害薬併用療法の将来的な選択肢として、sacituzumab govitecanのさらなる研究を支持するものです」