切除不能・転移性尿路上皮がんを対象に「オプジーボ+化学療法」を評価したCheckMate-901試験の結果を発表

2023/11/27

文:がん+編集部

 切除不能または転移性尿路上皮がんを対象に、「ニボルマブ(製品名:オプジーボ)+シスプラチンを含む化学療法」併用療法を評価したCheckMate-901試験の結果を発表。全生存期間と無増悪生存期間において統計学的に有意な改善が認められました。

「オプジーボ+化学療法」併用療法、化学療法と比較して死亡リスクを22%低減

 ブリストル マイヤーズ スクイブ社は2023年10月17日、CheckMate-901試験の結果を初めて発表しました。

 CheckMate-901試験は、未治療の切除不能または転移性尿路上皮がん患者さんを対象に、「ニボルマブ+イピリムマブ(製品名:ヤーボイ)」併用療法または「ニボルマブ+シスプラチンを含む化学療法」併用療法とそれに続くニボルマブ単剤療法を、標準治療である化学療法と比較した第3相試験です。主要評価項目は、全生存期間、無増悪生存期間でした。

 追跡調査(中央値約33か月)の結果、「ニボルマブ+化学療法」併用療法は化学療法と比較して死亡リスクを22%低減。全生存期間の中央値は、それぞれ21.7か月と18.9か月でした。また、「ニボルマブ+化学療法」併用療法を受けた患者さんの生存率は、12か月時点で70.2%、24か月時点で46.9%であり、化学療法ではそれぞれ62.7%と40.7%でした。

 無増悪生存期間の解析では、「ニボルマブ+化学療法」併用療法は化学療法と比較して死亡または病勢進行リスクを28%低減。無増悪生存期間の中央値は、「ニボルマブ+化学療法」併用療法で7.9か月、化学療法で7.6か月でした。また、「ニボルマブ+化学療法」併用療法を受けた患者さんの無増悪生存率は、12か月時点で34.2%、24か月時点で23.5%、化学療法ではそれぞれ21.8%と9.6%でした。

 奏効率の解析では、「ニボルマブ+化学療法」併用療法は化学療法と比較して、約15%高い奏効率を示しました。それぞれの奏効率は、57.6%と43.1%でした。また、2倍近い患者さんが完全奏効を達成、それぞれの完全奏効率は21.7%と11.8%でした。さらに、「ニボルマブ+化学療法」併用療法は化学療法と比較して、3倍近い完全奏効期間を示しました。それぞれの完全奏効期間の中央値は、37.1か月と13.2か月でした。

 「ニボルマブ+化学療法」併用療法の安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。

 オランダのアムステルダムにあるオランダがん研究所腫瘍内科部門のMichiel S. van der Hejiden医学博士は、次のように述べています。

 「転移性尿路上皮がん患者さんの場合、化学療法単独によるファーストライン治療では奏効期間の持続性が良好でない例が多く、この治療困難な疾患を抱える患者さんの治療における長年の大きな課題となっています。オプジーボとシスプラチンを含む化学療法の併用療法が示した生存ベネフィットは、極めて重要な成果であり、標準治療であるシスプラチンを含む化学療法と比較して、これほどの改善を示した初めての同時化学免疫併用療法として、尿路上皮がん患者さんの希望となりうるものです。これらのデータは、臨床診療を変え、シスプラチンに適格な患者さんの治療法に変革を起こす可能性を秘めています」